300A

 幾多のマウンテン名曲の中で、最も有名な曲を一曲挙げろと言われれば、恐らく多くの方が「ミシシッピー・クイーン」とお答えになられるでしょう。
で。そのミシシッピークイーン。イントロのカウベルが、「カッカカッ」っ
て鳴って「ズズズズゥー!(爆音)」と始まるワケですが、エンディングもこの「ズズズズゥー(爆音)」で終わります。
で。エンディングはカウベルよりも更に印象的なピアノの「チンチロチロリ ロ」っていう“合いの手”が入ります。

ハイ。その“合いの手”の、アノ音は、これです!(注釈: ただしLiveのみで、スタジオは生ピです。)


RMI エレクトラピアノ&ハープシコード 300A

これがなければ、いつまでたってもミシシッピークイーンが終われない!という。

幾多のマウンテン名曲の中で、最も有名な大作を一曲挙げろと言われれば、恐らく多くの方が「ナンタケット・スレイライド」とお答えになられるでしょう。
で。そのナンタケット・スレイライド。静かなナンタケット島の港に最愛のロビン・マリーンを残してその男は航海に出るワケですが、やがて怒涛の嵐に巻き込まれ、その嵐が通りすぎると教会の鐘のような旋律が「ド〜レシソド〜」 と聞こえて、また静かな海に戻れて。で。3番になり、航海は更に続くワケですが、その「ド〜レシソド〜」っていうアノ音は、これです!『 RMI 300A 』

これがなければ、ナンタケット・スレイライドは3分で終わってしまう!という。(注釈:スタジオ盤の話です。ライヴではハモンドで代用され航海は永延に続きます。。。20分くらい。。。)

つまり、これが無ければ、マウンテンにならないという重要なアイテムが、この『 RMI 300A 』 なのです。(と断言)  
御覧の通り、上カバーがブルーです。有名なスタジオライヴ映像「Don't Look Around」で、その涼しげな勇姿が拝めます。
「なんだ?ハモンドの上の青いキーボードは?」と気になっていた方は、真性のクライマーです。
巷でよく見るRMIエレピは黒いんです。(←よく見ないか。)リックウェイクマンなどの使用で有名な『300B』という後継機種の上カバーは黒です。
で、これは1967年発売の初期型。300型の、涼しいブルーの 『 A 』 です。

300B は黒。ブラックなので 『 B 』、300Aはアオなので 『 A 』。日本の家電業界では常識の色表示品番が実はアメリカからやってきたとは知りませんでした。

その300Bの後、ジェネシスなどで有名な後期型『368』になるのですが、『300A』 と 『300B』、『368』 の主な違いは、『300B』 にはオプションで トレモロユニットがあったり、『368』 にはボリューム調整と低音調整のスライド式レバーが真ん中のスイッチ部の両サイドにあって、便利な反面、初期型300Aの方がヨケイな回路を通っていないぶんサウンドにヌケがある。(と、両者を比較してみたら、そう感じたのですが、個体差もあるし、個人的主観もあるし。)

一応、資料には「後期型の方が改良されハイファイ」みたいなインフォメーションもあるので、事の真偽はマウンテン・トリビュートバンド『風林火山』のライヴで皆さんの耳に判断を委ね。(笑) 

で。

このRMIの素晴らしいトコは、エレピ音の他にその名のとうりハープシコード風の音も出るし、音を持続させる機能があるので、まるでオルガンのような音も出るし(ちゃんとハモンドのパーカッションみたいなクリック音も出せる)、それらをスイッチで選択するも良し、混ぜるも良し。という。素晴らしいっ!

で。

涼しげなブルーのフタを開けると各鍵盤のチューニング用可変抵抗がズラリと並んでいて、これは調律という点では Rhodes やウィリッツァーよりもカナリ便利です。がっ、全鍵盤のイントネーションが最終的に合わなかったりするトコがハードロックです。

 

 

 

更にこの『300A』の凄いトコは、純正のペダルも付属した常態で“発掘”されたという事です。

左ペダルが音量、右の小さなペダルがサスティンです。ブルーの『300A』自体がとてもレアなので、本体のコンディションも素晴らしい上に、付属品付という、これはほんとうに奇跡の発掘です。

マウンテンの名曲の数々を彩ることも、続けることも、終わらせることも出来る“奇跡”のエレピ。

 

 

《 後記 》

唯一無二の黄金期マウンテン・サウンドを探求し続け、その秘密が「Gibson EB-1レスポール・ジュニアSUNN 100Sの組み合わせ」を “規格外の爆音”で鳴らす。というトコまで解明したのですが、何かが足りない。。。
それだけでは当サイトとリンクしている、これまた唯一無二のサウンドを誇るグランド・ファンク・サウンド(規格外の爆音)と比較してみても、「こっちの方がギブソンな分、クリオリティが高い」程度のありきたりの差になってしまうのです。

しかし実際には両者のバンドサウンドのイメージはかけ離れています。あんまりGFRと比較されないので、もう少し“一般的”表現で言うと、パパラルディつながりのクリームと比較してみても、「クラプトンとレスリーウェストのギターの音が違う」という表面的な差だけでは、絶対に埋まらない大きな“差”があると、誰もが、なぁんとなく感じているワケです。

その“秘密”こそ、スティーブ・ナイトの超個性的なキーボードサウンドに要因する所が大きかったのです。
今回判明したRMI 300Aの個性だけでなく、ハモンドオルガンの使用方法に於いても、レスリースピーカーの揺れを拒否した“揺れないオルガン・サウンド”であったり、居るのか居ないのか分からないほどの音量の“抑え” であったり、やっと許されたソロ・パートでオルガンにワウワウかけたり。。。正に常人のセンスを超越したモノがあります。
そして実際にキーボード抜きでマウンテンを演奏してみると、常に鳴り響いているコード感がトリオでは欠落してしまう事によって、曲のイメージは大きく変わってしまうし、印象的なメロディ(合図)がないので展開がキメにくいし。。。
まさしく個性とアイデアを積み重ねてそびえ立つマウンテン・サウンド。
その秘密の「見晴らし」は、やっぱり実際に登ってみないと分からなかったワケです。

マウンテン、最っ高!

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