Leslie West Collection

 LesPaul Jr.

1954年にGibson社初の廉価版エレクトリックギターとして発売されたレスポール・ジュニア。強〜烈なサウンドを放ちます。
マウンテンサウンドの要としてあまりにも有名なこのギターですが、実際に爆音で弾いてみると意外な秘密が隠されていました。
レズリーウェスト氏と言えば、誰しもが「ピッキング・ハーモニクスの名手」と答える事でしょう。当時のロックギター界に於いて誰よりも強烈にピッキングハーモニクスを炸裂させ、「マウンテン=レズリーウェストのピッキングハーモニクス」とまで言われた、正に彼の個性そのものと言っても過言ではないでしょう。
で。いったいナニが爆音の中に隠れていたか。というと、正にその「ピッキングハーモニクス」なのです。
ナント。普通に弾いても、全てのノートにハーモニクスが混じるのです。
なのでワザと指の腹でピッキングハーモニクスを狙わなくても、クュイ〜ンって鳴るのです。(もちろん狙えばピキュオ〜ンです。)

恐るべし、レスポールジュニア。

どうしてハーモニクスが鳴るのかいろいろいじりまわして考えてみたのですが、たぶん。このシンプルなブリッジと極上マホガニー材のボディとの相性に於けるマジックのようです。
レスポールスタンダードとは明らかに違うブリリアントな“共鳴”が発生しています。

第一に生音がデカイ。

「夜中なんだからアンプ鳴らすのやめなさい!」と、アンプを使ってないのに怒られるくらい、アコギのようにデカイ音で鳴る。

ボディ全体、ネックの裏側からも強烈なヴァイブレーションが響く。それをダイレクトにマウントされたP-90が、ハーモニクスを得やすいブリッジポイントで拾うワケで、そりゃよっぽどヘナヘナに弾かない限り、全部のノートにハーモニクスが乗るワケです。
ちなみにレズリーウェスト氏のピックは、世間のイメージと全然違ってヘナヘナだったそうです。最初にそれを知ったときは「ウソこけ」と思いましたが、このギターを弾いたら納得です。
出過ぎるハーモニクスをコントロールするにはヘナヘナのほーがいいんです。
ここんトコが、パッパラルディ氏愛用のEB-1を検証したら「非常識なまでに低音しか出ない」ので、ギンギンに歪ませても低音は失われない。っていうのと似てます。
非常識にウルトラハイ(ハーモニクス)が出まくるギター。それが、このレスポールジュニアなワケです。

このEB-1 と Jr. の超個性的な組み合わせ。誰が気付いたのだろう?やっぱりパッパラルディ氏だろうな。。。
マウンテンが「クリームで出来なかった云々・・・を実現させるため・・・」とか、よく言われますが、この EB-1 と レスポールジュニアによるサウンドアンサンブルこそ、正に世紀の大発見であり、あの最高のマウンテン・サウンドそのものだと私は思うワケです。

ちなみに比較したレスポールスタンダードは、私の所有する約50本のギターの中でも最高のサウンドのギターで、誰に弾いてもらっても絶賛して頂ける最高のギターなのですが、あっさり。このレスポールジュニアのほーが全然良い。
というか、比較にならないほど、このジュニア、良いです。
今まで何百本ものギターを弾いたことがありますが、このジュニア。ほんとうにイチバンなのです。(驚)

それもそのハズ。このジュニア、東京中のヴィンテージやヒストリックコレクションやレギュラーモデルを20〜30本弾き比べて選んだ最高の一本なのです。(2007年1月現在のハナシです。)
意外にもヴィンテージの中にはマウンテンの要となるミッドレンジが枯れて「終わって」しまっている物が多かったり、ヒスコレにも全然鳴らない物やレギュラーモデルに信じられないような鳴りを誇る物が有ったりで、今さらながら最高の技術を誇るGibson社製のギターを持ってしても、ギターの個体差が如何にあるかという事を再認識させられました。
そして知ったのは、シングルカッタウェイのジュニアという構造の持つ「ハーモニクス・マジック」だったワケです。
あんまり鳴らないジュニアでも、全てのジュニアにマジックは存在していました。

ちなみに、ピッキングハーモニクスというとチョーキングなどのソロを弾いたときのイメージですが、6弦や5弦で低音のリフを弾いた際にも、弾いたノートをハーモニクスが包んでくれるので、どんなに歪んだアンプでも弦の輪郭がツブれずにはっきり音程が聞き取れるのです。
そこんトコがまたジュニアの凄いトコなのです。
マウンテンの低音リフが非常識な低音ベースの前ではっきりと浮き立って聞こえるのは、そーゆー事だったのです。
メイプルトップのスタンダードだとコンコンした音が混ざって「ぞんぞんぞん」ってすり潰したように聞こえてしまい、あのうねるような、それでいて抜けてくるリフのカンジが出ないなとは思っていたのですが、全部のノートがツヤ出し仕上げになっているとは知りませんでした。
てか、そんな事まで考えて設計してないと思うので、50年代には存在しなかったハイゲインな状態にアンプを設定したら、こーゆーマジックが起こった。というのがやっぱり正しいのではないでしょうか。
そこに気付いたのがマウンテン。やっぱり凄い。


表のみサンバースト仕上げ。

美しい木目のワンピース・マホガニーボディ

Mountainのイメージを決定付ける、このEB-1 と LesPaul Jr.ですが、こうして並べて見ると共通点が多いのです。

  • Gibson製
  • 1954年発売 (時代背景としてハードロックを想定していない設計)
  • マホガニー単板ボディ&マホガニーネック
  • 1-PickUp、1-Volume、1-Tone (一種類の音しか出ない)
  • この楽器でしか出ない超個性的な音を持っている(←これこそがマウンテン・サウンド!)
  • かっこいい

私の個人的憶測ですが、LeslieWest氏にJr.を推薦したのは、EB-1にこだわり続けたPappalardi氏なのではなかろうか。と。
マウンテンの緻密に計算された楽曲アレンジと個性的なサウンドアンサンブルを聴けば聴くほど偶然とは思えない意志がそこにあるように思えてならないのです。
前述のGFRが個性的なサウンドの楽器を持ったメンバーが集まった偶然のケミストリーとすると、マウンテンは計算されたケミストリーのようなカンジ。
ブリティッシュロック王道では、一般的にその時代に最高のサウンドを得られる機材(それらは今現在もロックのスタンダードと評されるギターやベースやアンプ)を求めつつ個性を発揮しているバンドが多いのですが、同じように個性を主張するにもアメリカンな発想はやはりちょっと違うのでしょうか。
マウンテンは「音はブリティッシュ」と評価されますが、私にとっては彼らの音へのアプローチにこそアメリカンロックの勇GFRと同じニオイを感じるのです。

強烈で。かっこいい。

 

 

ボディには幾多の強烈な戦歴が刻み込まれ壮絶な佇まいを誇ります。

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