MELLOTRON

でたっ!でました!これがアノ、「メロトロン」です。本物です。(私も初めて見ました)
川で遊んでたらオオサンショウウオに出会ったような感動。ほんとうに居るんだ!生きていたのか!これがそうなのか!みたいな。(なんだそりゃ)
今回、この驚愕のヴィンテージキーボード達を取材させてくださったAtusmiさんは、世界最強のメロトロンマスターとしてあまりにも有名な方ですので、このメロトロン、世界屈指のほんとうに素晴らしいコンディションなのです。
ハモンド、クラビ、ウィリッツアーと爆音検証させて頂き、「やっぱ最後はコレだね。」と、これまたツアーケースをパカッって開けたら、この国宝が登場したワケです。

もうメロメロ。。。(←×)

私の周りにはメロトロンを知らないタワケモノ(笑)が以外と多かったので、ここで素人説明。
テープレコーダーのテープに本物のフルートの音を、ドレミファソラシドって1音ずつ録音して、そのテープがズラリと並んで回ってるワケ。で、テープレコーダーのヘッドがこれまたズラリと並んでて、出したい音のスイッチを押すとその音のテープにヘッドが触れて発音する。そのスイッチが“鍵盤”なワケ。イメージできました?
つまり、テープ録音によるサンプリング。元祖サンプリングキーボードなのです。フルート以外にもいろいろな楽器の音色を録音したテープが用意されていて、カートリッジを交換すればOKという優れものなのです。
現代の(←反対語は古代か?)デジタルサンプリングと異なり、アナログレコーディングされたテープ音源なので空気感というか暖かい音色が好まれ、今でもレコーディングにはメロトロンを希望するミュージシャンが多いのもウナヅケます。(実際にはレコーディングで使えるコンディションのメロトロンはほとんど無いので、この写真の黒いメロトロンへのオファーが多いらしい。。。凄っ)

で。ハモンド同様、これも弾く前の儀式があります。
前述のカートリッジをセットしなければなりません。

 

先ず、鍵盤を外します。左上の写真が外された鍵盤。 で、右がカートリッジ挿入の画。

今まさにナナメにカートリッジが押し込まれようとしているトコです。 テープヘッドがズラリと並んでいるのがおわかりになるでしょう。
メロトロン本体の写真すらなかなか無いので、この内部構造がわかる写真は貴重ですよ。

そして左の写真がカートリッジからテープを“ひっぱり出して”セットし終えた画です。
前述の文中「カートリッジを交換すればOKという優れもの」という不適切な表現がございました(爆)。
このカートリッジ、デカイ。重い。
朝の豆腐屋の作業風景というか、ハタ織り器のイメージというか、とにかくオオゴトなのです。
「よいしょ、がっちゃん、ネジしめて、テープ引っ張りだして、調整して。。。。」って。
さすが慣れてらっしゃるんで1〜2分くらいでしたが、私なら30分は要します。

ひとつのカートリッジに3種類の音色が録音されていて、つまり昔の8トラックテープみたいな3トラックテープなワケです。3つの音色が1本のテープに録音されていて、そのテープ対して「ヘッドが当たる位置」を左の丸いツマミで、ガッチャン、ガッチャンと、昔のテレビのチャンネルのごとく切り替えられるのです。

←丸ツマミと連動している内部のユニット全体が動いて「当たる位置」が変わって、音色をチョイスするワケです。
ストラトのハーフトーンみたいにチャンネル切り替えの途中で丸スイッチをムリヤリ止めると、隣り合った2つの音色が混ざったりするあたりがエレキです。

構造的に和音も弾けるワケで、なのでオーケストラみたいな音がかなりリアルに演出できるのです。10本指を全部使って和音を弾けば10人のフルート奏者の音が重なるワケです。

がっ。あまり調子にのって和音の構成音を増やすと、回っているテープにヘッドがたくさん触れてブレーキになっちゃうんですね。写真に見える巨大なモーターがヘッドのブレーキ抵抗でストールして、回転が落ちてしまうのです。そうすると音程が落ちてチューニングが狂ったようなカンジになるのです。

「あーっ!」 と思った方。そうです。

Caught in the act の名演 Closer To Home で、フルートの音からストリングスの音に切り替わって(←ガチャン、ガチャンってクレイグはやったハズね)一発目の和音の立ち上がりが、チューニング狂ったみたいになってるのを気にしていた方、たくさんいらっしゃるでしょう。

アレ。
「いきなり和音弾いて、一瞬モーターがストールした為にああなってる。」

っていうのが、今回の取材でわかっちゃいました!
私もずっと「なんで編集で直さないんだろう?」って疑問に思っていたのですが、「これがメロトロンのかっこいいとこなんだよ!」と教わり。(この程度狂ってるとは言わない。ともおっしゃってました。いやはや。)
なんでも弾き始めの一発はたいてい安定しないそうで、モーターの御機嫌と対話しながら弾くのがコツなようです。

めっちゃアナログ! しかし、そのサウンドたるや。

皆さんは楽器の音を聞いて、音色で泣きそうになったことってあります?
Atsumiさんがイキナリ「やっぱりこれっきゃないでしょう」と弾き始めたCloser To Home の、あのフルートのメロディを聴いて、もう今までみたGFRやMARK FARNER BAND のライヴのシーンが走馬灯のように駆け巡ってしまい、私は涙をこらえるのがたいへんでした。

そのまんま。あの Caught in the act の、あの音なのです。
しかも爆音。ほんとうに震えました。

メロトロン。素晴らしい楽器です。


― 後記 ―

貴重なヴィンテージキーボードの数々(総重量500kg!)を、私に本物のサウンドを体験させてくださる為にひっぱり出してくださり、そのうえ私に分りやすいようにグランドファンクの曲を凄い勢いで弾きながら解説してくださったAtsumiさんに、大々々感謝です。
まさかGFRが使ったのと全く同じ機材をこうして検証取材できてHP掲載させて頂ける事になんるなんて。
ほんとうに夢のようですし、Atsumiさんの“選び抜いた”楽器が偶然にもGFRの使用機材と全く同じであったのも、そのAtsumiさんと出会う事ができたのも、全部が全部奇跡のようです。
この暴走機関車の上での出会いに、いつもいつも感動させられっぱなしです。

ほんとうにありがとうございました!最っ高です。

Brother Eiji


― “衝撃”の追記 ―

ハモンド、クラビネット、ウィリッツァー、メロトロンと、この取材を終えた後も、ピアネットやら、リングモジュレーターやら、ミニモーグやら、タウラスやら、GFRに関連する隠し飛び道具(?)をいっぱい所有されているコトが次々と判明して、(というか、現物を検証させて頂く機会を頂けて、それらをGFRが使用していた事を知る事が出来たワケですが) そんなトドマルところを知らない暴走機関士ぶりを発揮し続けるAtsumiさんですから、ハタと。「まだ、なんか隠してんぢゃなかろーか。」と。

で。

なななんと! コレを所有されていらっしゃいました。

な・ん・じゃ・こ・りゃあ!

恐らく日本にはコレ一台しかないだろうという。
テカ、世界中に何台、生き残っているの!?という、超レア中のレア。

キングクリムゾンもビートルズも、このMark U。これぞメロトロン伝説、これが自宅にあるっていうのが当時の大成功したロックミュージシャンのステータスだったという、たぶん21世紀となった今はもう見ることすらないだろうという、ホントに“幻”のキーボード!

上のメロトロンが野生に生息するオオサンショウウオとすれば、これはマンモスです。
氷土を掘らなければ出てきませんし、出てきても息絶えていたりします。
展示するだけで拝観料がとれたりします。

ノリピー語でいうマンモス珍しい楽器です。(←ああ、やっちゃった。)
これは強烈すぎちゃってGFRは使ってないんですが(笑)、あまりにも衝撃的なので掲載させて頂きました。
メッセンジャーやWESTアンプよりもレアなんで。こりゃサイトに載せなければっ。と。
あまりにも凄い楽器なのでメッセンジャーやWESTと全然、同列で比較にならないんですが。(笑)
その他にも、ナントナント。偶然にもMARK FARNER尊師ご愛用の KORG 01W/FD も所有されている!のですがマンモス君のインパクトが強烈すぎて写真は省略です。これと同じです。(笑)

でも。でも。でも。

これほど大量のキーボードを所有されていて、まさか10年以上昔に生産中止になったKORG 01W を所有されているとは、それはそれですごい偶然な事なんです。が、発表のタイミング(インパクト)を誤りました。。。

一挙に公開となったクレイグ・コレクションですが、メロトロンMark Uに至って、これって日本中(世界中?)探しても、自称ビンテージ・ロック・キーボーディストのAtsumiさんじゃなきゃアリエナかったワケで、この素晴らしい出会いに恵まれてやっぱりまたまたGFRに大感謝なのです。

というワケで。
この驚愕のマンモス級メロトロンを前にして。。。
やっぱり、これはやるっきゃない!と、このMellotron Mark Uを
バラしてみることにしましたっ !!

恐らく世界中のメロトロンマニアが泣き濡れるであろう、ここにしかない、
本邦初公開(のはず)の、“宮殿”への入り口はこの下からです。


MELLOTRON MANIAC

世の中、いろんなマニアの方が居ます。

ギターマニア、アンプマニア、ギターケースマニア、普通のヴィンテージ・キーボードマニア、etc, etc,

そしてここから始まるページは、ロック全盛期に於いて数々の歴史的名曲を彩り、ハードロックファン、プログレッシヴロックファンのみならず世界中の音楽ファンの間で伝説となったメロトロン Mark Uを徹底的に追求した、メロトロンマニアの部屋です。

マニアック度からすると、規格外の超ド級すぎです。

どうしてこれが Grand Funk Maniac に?と思われた貴方とボクの疑問に答えるとするならば、両者がどちらも世界中を魅了した「本物だから」です。
驚愕のメロトロンMark Uを所有されている、Atsumiさんの全面的なご協力によって、この奇跡のような出会いを皆さんにご紹介させて頂ける事となりました。
ちなみに取材させて頂いた幻のメロトロンMark Uですが、さすがに御自宅に於いても「一年に一度しか使わない」とのお話を伺っておりましたので、今回はその貴重なMark Uを「徹底取材OK」と、大変ありがたい機会に恵まれたのでした。

先ずは。ご自宅を訪問させて頂いた際に撮影させて頂いたこちらの写真を御覧ください。

 

これはAtsumi家で毎年春先に見られる美しい“ひな祭り”の一コマです。
そして信じられないような驚愕の光景をその目でしかと御覧ください!

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節句? 絶句!


 

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