ATUMIC ROOSTER Presents

“アックスの奇蹟〜Veritas ! One-night Wonder”

≪ 第T章 Happenings 19 years time ago ≫

「明日、約束の場所で会いましょう!」

クリスマス・イヴの夜。ボクは20数年前からずっとVOWWOWに憧れ続けた“少年・川村ケン” と約束を交わし、そして自分もまた久々に童心に還り、ベッドの中で“虹色の”サンタさんに真剣に祈りながら、まったく眠れぬイヴの夜を過ごしました。
この日に至るまでの数日間、取材という名目でボクが見せて頂いた世界は、ほんとうに信じられないような素敵な光景でしたので、ただただもう、この光景が何も欠けることなく、約束の場所で皆で共有できたならば、どんなに素晴らしいことだろう!

絶対にそうなってほしい!ヴィンテージ機材よ、何も壊れるなー!って。(笑)

なんだ。ライヴレポートじゃないのか。お前らの話か。と、先を急ぐなかれ。
そのお前らは、遠いあの日の皆さんでもありんす。(笑)
今回、素敵な写真を撮りまくり、提供してくださったのが、厚見玲衣になりたくてキーボーディストになってしまった川村ケンさん(大人)です。
残念ながら重度の「キーボード脳」と診断された川村さんの写真からは、症状の重さがニジミ出てしまっていますが、そこまでもが素敵です。ボク的には。(笑)
涙腺がゆるんでのピンボケ写真も混ざっていますが、それはボクの隠し撮り。
出会うべくして出会えた「VOW脳」コンビ。(笑) 出会えてよかった。

そんな川村さんのブログでも素敵なレポートが掲載されていますので、行ったり来たりしながら読んでください。
いっぱいある中からチョイスする機材の写真が、ボクと川村さんとでほとんどカブラなかった。。。

恐るべし「重度・キーボード脳」(笑)

では、軽度・レポートの、はじまりはじまり。

 

≪ 第 U 章 Atumic's Axe ≫

やっぱ、まずは機材から。でしょう。(笑) なぜなら。。。

リハーサルは3日間、都内某所で行われたのですが、初日の朝、事件はいきなり起きたのです。
50畳もの広さのスタジオに機材の入ったケースを運び込んだら、なんと部屋がケースで埋まってしまったのです。(爆)

呆然と立ち尽くすスタッフ一同。

「み、み、みんな。落ち着こう。先ずはドラムとギターは、あ・き・ら・め・て、
鍵盤をケースから出そう。で、空いたケースは外に撤去しよう!」

「これ、本番当日、4トン車一台で積みきれますかね?」

「そ、そ、そんなこと、今は考えないにしよう。とにかく今はキーボードをセットしよう!」

深刻な事態なのに、あまりのキーボードの量に、なぜかスタッフ皆、半笑い。。。

当サイトでは、「HEAVYな音は、HEAVYな楽器じゃなければ出ない」 と、常々語ってきましたが、

「そーゆー楽器がこんなにもたくさんなければVOWは再現できない。」

という新たなキャッチフレーズを考えながら真冬に汗ダクになっていたら、

「当時はもっと多かったんだけどね。今回は削れるトコは削って減らしたんだよ。」 デスと。(爆)

「こうして見ると、けっこうあるな〜」(←ちょっと満足気)

「なんだよ。キーボーディストって、いちばん大変なんじゃん。」(←なぜか不満気)

と、すったもんだの挙句、出来上がった光景をご覧頂きましょう!
お待たせしました。今回の“奇蹟”の立役者!キーボード。

厚見 玲衣!

まさに要塞のごとく積みあがったキーボード群。
開演前、ステージ上の照明を落とした状態で、入場してきたお客さんが最初に見た光景はコレ。

 

そして客席にSEが流れ、ライトに照らされた光景はコレ。

どうです。泣きそうでしょ。
組み立ても泣きそうだったよ。(笑)
21世紀に、日本どころか、世界中探しても、こんな光景ないでしょ。
これを見たら、いつの時代の、どんだけ強烈なプログレバンドなんだ?って普通思うよ。ね。
詳しく見ていきましょう。

全部説明したいけど、書ききれないんで(笑)、おおザッパに説明すると、どれも2台ずつあります。
Mini Moog にモーグ博士のサインとメッセージが記されているのは有名ですが、実はこのトーリ裏にもサインがあります。

ご自分の名前の周りに、ふにょふにょ〜って線を書くあたりに博士のFUNKYさを伺い知れますし、コントロールパネルは立てろよ。とのメッセージも読み取れます。
コントロールパネル部分を立てないと、このように博士のサインは見えないので。

ハモンドの裏パネルが透明のアクリル製で中が見えるというのも有名ですが、この日のメンバーと演奏するとなると、ハモンド君も燃えに燃え、良く見るとドラムセットが収納されているがごとく、アクリルパネルに映り込んでいて、やたらかっこいい。

その上のシルバーのDX-7なんて見たことないぞ。という方には、こちらの写真を。

これはDX7U Centennial という特別機種なのです。スイッチは金色。。。って、誰も持ってないですよ。
一番上の Roland Jupiter-8 に目を奪われガチですが、あの名曲のイントロの数々は、Jupiter-8 と DX7II Centennial の音をミックスしているので、これはとても重要なのです。

で。先ほどのMini Moog 2台の下は、「いつものトライトンね」 などとアナドルなかれ。
これは、その名もカワムライトン。川村ケン氏のトライトンなのです。
サブとして借りてきていたのですが、「厚見さん、もしもですが、どちらでもいいなら、是非、川村くんのトライトン、使ってあげてくださいませんか」と、川村氏の親友M氏が願い出て、実現した光景なのです。

少年が憧れ続けたVOWWOWのステージ上で実際に弾いてもらっている写真は、このトーリ、グっとくるものがあります。

イメージしてください。

  • 貴方のストラトをクラプトンがステージで弾いてくれたら。
  • 貴方のレスポールをペイジがツェッペリン再結成で弾いてくれたら。
  • 貴方のメッセンジャーをマークファーナーがグランドファンク再結成で弾いてくれたら。。。

って、メッセンジャーはないか(笑)

たぶん、この日。AXに集まった皆さん、ひとりひとり、それぞれの想いに、きっと素敵な“奇蹟”が起こった。って、ボクは思っています。
タイムマシーンに乗って、過去の自分に会った人や、忘れていた記憶が蘇った人、信じていたモノを確信できた人、それぞれにそれぞれの“奇蹟”であったり、夢が現実に叶った瞬間であったり。
その中のひとり、少年・川村ケン君にも、トテツモナイ“奇蹟”が起こっていた。という素敵なエピソードです。
全部書ききれないんで(笑)、おおザッパに説明すると、これだけの楽器を積み上げるということは、そこに至るまでのメンテナンスや、いろんな方々の協力があったから出来たということで、ひとつひとつの楽器にまつわる素敵なエピソードが他にもいっぱいありました。

この日のライヴがたくさんの“想い”に支えられていたという。
なので、「何も壊れるなー!」って、祈りたくなるのです。(笑)

で。そんなカワムライトンの下のピアノはヤマハCP-300です。
このピアノで奏でられたイントロに泣かされたのはボクだけではないはず。(笑)
そんなシーンをパチリ。

あ。思い出すと泣く。。。

ハモンドの傍には、今回ラストでミラクルを起こす、フェニックス・ショルダーキーボードと、見ただけで泣く人は泣く フェニックス・ギターがセットされました。

この日、機材の各所に貼られたVマークや、キーボードラックに据えられたモニターに映し出されたVマークに心を躍らせたのはボクだけではなかったと思っていますし、このフェニックス・コンビを見て興奮したのもボクだけではなかったでしょう。

そして今回、初披露となったのが、この白いメロトロンです。

いつもの黒いメロトロンは、正面のジュピター8の下の、KORG M1の下に居ますが、
こちらの白いメロトロンは置ききれず、外です。(笑)

白地に黄色なので気づかなかった方も多かったようですが、ここにもVマークが。

ジョンポールジョーンズみたいでカッコイイ。(笑)
で。Vマークの下のカバーを外して、中のテープが見えるようにしまして。
ついでに、上蓋もこのように外しまして。

ちょちょちょって、上からの光がテープを照らすように細工したら、このトーリ。

いやはや。なんちゅーかっこよさ!

この白いメロトロンは、Little Wing と、この日のハイライトのひとつとなった Pains Of Love で奏でられました。
まさか、Pains Of Love の、あのオーケストレーションが、全編メロトロン一台だけで演奏されるとは、自称VOWファンのボクですら衝撃的でした。

メロトロン、えらいっ。

というか、メロトロンのポテンシャルを完全なまでに引き出す厚見さん、すごすぎ。
これまた多くの人を泣かしたメロトロン。。。え?ボクだけ? なワケないですね。

 

≪ 第 V 章 Evolution of Electric Guitar ≫

サテ、ここまでキーボードばっかりでしたが、おまたせしましたギターとベース登場です。

ヤマハHR 山本恭司モデル、フェンダー・カスタムショップ特注ストラト、そしてレスポール・ジュニアです。

66年製ヴィンテージ・プレシジョン・ベースと、ヴィンテージSUNN 100S。

そして両者の足元には、Moog タウラスが、1台ずつ置かれていたのに気づいたお客さんは、キーボード脳と診断されます。

おや?キーボードに比べ、ずいぶんギター&ベースの説明があっさりしてるな。などと心配するなかれ。
あまりにも量と質が強烈なキーボードに目を奪われてしまうのですが、この日のセットリストと、曲に合わせてチョイスした使用楽器との関連に於いて今回のライヴにはもうひとつのテーマが存在していたのです。

レスポール・ジュニア〜ストラト、そしてHRへ。
ヴィンテージ・プレベ〜サドウスキー5弦ベースへ。

この日のオープニング〜セットリスト前半は“楽器隊”による、ハードロック名曲のカバーでした。(←カバーと呼ぶには凄まじすぎるオリジナリティでしたが)
「何でアタマから全曲、VOWWOWやらないんだ。」という意見も聞こえていましたが、この日の演奏を見た皆さんは気づかれたことでしょう。

板にピックアップが1個だけ。あとは6本の弦しか張られていないレスポール・ジュニアでさえも、ひとたび山本恭司氏が手に取れば、あの信じられないような表現力を奏でる。という驚愕の事実に。

ジミヘンの曲を弾くために、1曲だけ手にしたストラトキャスターでは、ただの一度もトレモロアームを使いませんでした。
すべてハンド・ヴィブラートとピッキングの表現力であの世界を描いていたことに衝撃を受けたのはボクだけではなかったと思います。

HRと比較すれば、高音域のフレット数も限られ、チューニングを固定する装置も、トレモロアームもないのですから、いわば“枷”を科し、表現を制限されたような状態であったハズなのに、ボク達観客の中で、誰かそんな風に感じた方、居たでしょうか?

恐るべし。恭司さん。ですよ。

よーく考えてみたら、初期 BOW WOWからのファン以外は、ジュニアやストラトのような、いわゆるトラディショナルなギターを恭司さんが弾きまくるシーンを見たことが無い方がたくさん居たのではないでしょうか。

実はボク自身も、恭司さんの驚愕のプレイを真似するには、HRでなきゃできっこない。HRが欲しいな〜。HRさえあれば!(笑) なんて思っていたのですが、ストラトでもジュニアでも同じように出来なきゃ、HRを持っても猫に小判!と、思い知りました。

実際、間近に見せて頂いた HR というギターは、弦高も高いし、いたってオーソドックスなギターでしたし。
でもそういう事実って、ここでどれだけ説明しようとなかなか伝わりにくいのですが、ジュニアとストラトでのプレイをあの日体験した皆さんには、もう何の説明もいらない説得力があったのではないでしょうか。
で、分かったようなことを言ってるボクですが、家に帰って、ストラトで真似してみたら、やっぱりまったく出来やしない!!!(笑)

すごすぎ。

そしてこの日のメンバー紹介で、「スーパーマリオ!」と賞賛されていたスーパーベーシスト堀川真理夫さんもまた、同じように“枷”を科し、ヴィンテージのベースを弾いていました。
そのサウンドは、上から下までレンジの広い、21世紀の“今風”音色ではなく、ミッドレンジにロックテイストを凝縮した、いわゆる古臭いロックの持つ、まさにフェンダー・ベースサウンド。
高音域フレット数どころか、堀川氏の愛器・サドウスキーは5弦ベースですので、弦が4本のプレベでは上にも下にもリミッターが付いた状態でしたが、驚いたことに堀川氏はこの40年以上前の楽器をピックでガラガラとかき鳴らし、容赦なく床にこすりつけ、まさにアノ時代のロックベース・サウンドを披露されていました。

恐るべし。マリオさん。ですよ。

ここで、このフェンダーベース・サウンドと、ストラトやレスポールというトラディショナルなギター・サウンドが混ざり合うことにより、バンドサウンドそのものが、アノ時代の、ボクらが聴きなれた音になっていたことに興奮したのもボクだけではなかったハズです。

そして次の瞬間。この日、アックスに集まったボク達は皆、タイムマシーンの搭乗者となったのでした。
それまで、オルガンと、ピアノと、メロトロンだけでアノ時代のサウンドを奏でていた厚見さんが、突如として積み上げたシンセサイザーを解禁し、ボク達が20年待ち焦がれていた“あの”イントロダクションを鳴り響かせると同時に時空は過去と現在を飛び越えたのでした。

満を持して、ステージ上に“最高のヴォーカリスト”が登場し、セットリストがVOWWOWの曲に“進化”したその瞬間、日本最高の2人のミュージシャンは、枷を外し、レスポール・ジュニアから HRへ、そしてビンテージベースから5弦サドウスキー・ベースへ楽器を持ち替えたのです。

それは、50年前に発明された“ロックという最高の文化”をも作りだしたエレキギターという楽器のポテンシャルをすべて搾り出すことができるテクニックを持った21世紀のミュージシャンが、更なる表現力に追従できる21世紀の楽器を手にしたシーンでもあり、ボク達が夢中になったエレキギターは、50年間進化し続けたという事実と、ボク達が憧れ続けたミュージシャンもまた進化し続けていて、それは同時にボク達が胸を張って

「VOWWOWが最高なんだ!」って言える“誇り”でもあり、
エレキギターとロックの歴史を一瞬で見せてもらえたような、まさにミラクルなシーンでした。

ボク達が夢中になったVOWWOWの“楽曲”もまた、進化した楽器でなければ追従できない。という事でもあります。
ロックという音楽までもが、この日演奏されたジミヘンやスペンサーデイヴィスの時代から進化し続け、VOWWOWの楽曲にまで昇華したという。
(しかし実は。1990年以降も進化し続けたのかというと、この20年間はレイドバック(原点回帰)していたようにもボクには思えました。)
VOWWOWが、まぎれもなくアノ時代のハードロックを原点として、そして“進化”の最高峰であったんだと、この日一緒にタイムマシーンに乗った皆が感じたのでは。と思っています。

≪ 第 W 章 Legend ≫

会場に足を踏み入れ、このロゴを見て、この光景を見て、これまた涙ぐんだのはボクだけではないでしょう!

今回、改めて、「世界で最も生音のデカイ」 新美俊宏というハードロック・ドラマーの凄まじさ、懐の深さを思い知ったのもまたボクだけではないでしょう。
そして。前述の「楽器が進化し、ロックが進化した。」というボクの勝手な説を読んで、じゃあオープニングから据え置かれたドラムセットでは果たしてどうあったのか?と考えられた方が居たとすれば、それはボクも含め、新美俊宏さんというドラマーの凄さの全てを知らなかったということです。

気づかれた方もたくさん居らっしゃるとおもいますが、ナント新美さんは、VOWWOWではVOWWOWスタイル、ハードロック・カバー曲ではアノ時代のスタイルで叩いていたのです!

VOWWOWナンバーで披露される疾走感、スピード感、速さの中にも兼ね備えられた重さ、圧倒的なまでの迫力は筆舌しがたい素晴らしさだったのは誰もが知るところですが、ボクはこの前半のハードロック・カバー曲で披露されたスイング感溢れるJAZZYなプレイや、マーチング・ドラムまでも取り入れた表現力、最高にFUNKYでグルーヴィなプレイのどれもが最っ高であったのことに、実は取材で拝見させて頂いた3日間のリハーサル段階からほんっとうに衝撃を受けたのでした。

だって、こんな新美さん、見たことなかったから!

よーく考えてみたら、新美さんが BOWWOW と VOWWOW 以外の楽曲を叩くシーンを見たことのあるファンって、ほとんど居ませんよね。ボクもそうだったワケです。

ボクなりにロックに目覚めて30年以上、いろんなライヴや生演奏を数多く見てきましたし、自称・ドラムフェチですし、日本を代表する最高にFUNKYなドラマーは?と訊かれれば、それまでボクなりの答えを持っていましたが、いまや即座に「新美俊宏さん!」 と答え、「最高のドラマーは?」 と訊かれれば、即座に「新美俊宏さん!」と答えます。まじです。

「え?知らないの?知らないだろ〜ねぇ、FUNKもすっごいんだよ!ムフフ〜」って。(笑)

≪ 第X章 V ≫

特別に許可を頂いたリハーサルの写真です。
ほんとうに、夢に見たこのシーンが、現実となって叶った証拠の写真です。

残念ながら、今回のライヴでは、本番の写真はありません。
だって。。。写真撮ってられっこないよ!(笑)
見たいの。ボクも、川村さんも。ファインダーを通さず、裸眼で。(爆)

おっと、「残念ながら」と書きましたが、即・撤回します。
何がすごいって、もしや本番よりも凄まじい?っていう勢いでリハーサルするバンドなんですね。
VOWWOWというのは。

都内某所で行われた3日間のリハーサルも、初日の一発目から「このままライヴできますよ!」と周囲の誰もが衝撃を受ける凄まじさだったのですが、それを3日かけてどんどん更に凄い世界へ持っていってしまう光景の続きが、この写真に収められているワケです。
なので、リハーサル写真でも十分に、この日起きた“奇蹟”は感じ取ってもらええると思います。

ご覧ください。これはリハです。

 


このトーリ、観客は誰も居ません。


まるで雲の上で演奏するがごとし。


あれ、よく見たら遠くのほうで家族が見てるな。(笑)

そして、この日のセットリストがコレです。

あ。思い出すと泣く。。。

本番が、集まったファンの物凄いエネルギーとの相乗効果で、更に素晴らしかったのは書くまでもありませんね。

ほんとうに、ほんとうに素晴らしかった!

≪ 第 Y 章 MAGIC ≫

楽器の説明に対して、本番のレポートはたった1行なのか! と、聞こえてきそうですが。。。はい。(笑)
このセットリストの全ての曲が、「こうあって欲しい」というボク達ファンの描いていたイメージの遥か上の演奏であり、サウンドもまたイメージの中の音。

特に元基さんのヴォーカルの素晴らしさは、これはもうまさに“奇蹟”を目の当たりにしているような素晴らしさでした。
で。セットリストのラストを飾るハリケーンが、あまりにも凄まじかったので、これ以上のテンションを望むにはVOWWOW以外の曲はありえないし、用意されたVOWWOWの曲はやり尽くしたハズなので、これ以上のアンコールはなし。

のハズだったのに!

この日のミラクルは、ここからが、“本番”だったのです!

ハリケーン終演後、厚見さんから語られた、この日この場所に至るストーリーは心打たれるものでした。
闘病の為にこの日の公演予定をキャンセルし、押さえていた会場を3月に厚見さんに譲ってくださった忌野清志郎さんは、5月に虹をジャンプして飛び超えて行ってしまいました。
そしてロックの神様に直談判してくださり、この日の“奇蹟”をサポートしてくださり、虹色のサンタとなってボク達にタイムマシーンの旅をプレゼントしてくれたのです。
機材トラブルもなく、全てが素晴らしい結果になったことをサンタさんに感謝していた、その最中!
イタズラ好きな虹色サンタはやらかしてくれました!

なんと、やらないハズの追加アンコールが行われたのです!

もう機材の電源は一度OFFにしているし、客席の照明も全部ついたし、扉も全部あいたし、「本日の公演は全て終了です!」ってアナウンス流れているし、これにはボクも「え?え?え?」でした。
お客さんの半分くらいが帰りかけていて、すでに建物の外に出ちゃった人も居るし、もう、「え?え?ええー!?」 です。

ちなみにボクの席は、恭司さん側の真ん中辺だったのですが、どどどーって戻ってきたお客さんの波に押されて、気づいたら反対側、厚見さんの足下の最前列に居たのです。
焦って、後ろを振り向いたら。。。なんと、ステージに殺到したお客さんの最高の笑顔がドっと押し寄せてくる、正に映画で見たWOODSTOCKのような光景が。

もちろん皆さん大人ですから、押し合うような危険な空気は微塵もなく、
ほんとうに心から嬉しそうな“愛と平和”に満ちた空気の中、炸裂したのは、

サマータイム・ブルース!

あれ?アンコールはやらない。とか言ってませんでしたっけ?(笑)

あれれ?フェニックス・ショルダーキーボードは使わないって言ってませんでしたっけ?とか、もうワケわからなくなっている中、いきなり元基さんがロジャーダルトリーのようにマイクを振り回し始め、ボクはそこでやっと気付いたのです。

「ああ、清志郎さんだ!やられた!」って。

だって、セキュリティ重視の今の時代、ロックコンサートで観客がステージに押し寄せるシーンなんて、ありえないですよ!
楽器も演出もなにもかもが進化したけど、ロックの持つ観客とアーティストの一体感という“本質”だけは、永遠に回帰できないところまで管理されてしまったのが21世紀のコンサートの姿でしょう。

それが。
まったく予定調和にないハプニング。

大人になったボクは、「VOWWOWの再結成」を願って、そしたらこの日“奇蹟”を与えてもらったのですが、少年のボクが夢に見ていたのは、

「ああ、もっと早く生まれて、WOODSTOCKに行きたかった!」
「THE WHO が破壊して客席に放り込んだギターを拾いたかった〜!」 っていう。(笑)
まあ子供ですしね。 (笑)

そしたら、サマータイムブルースが炸裂して、マイクは振り回すわ、観客は押し寄せるわ。
「え?え?え?」 ですよ。

「まさか〜、ウソでしょ清志郎さん」って思った次の瞬間、厚見さんがピート・タウンゼントと化して、ショルダーキーボードを破壊し、客席に叩き込んだのです!

「君の願いは、何も壊れないでくれ。だったね!」って。(笑)

偶然、厚見さんの足下に押し流されていたボクは、まるで筋書きがあったかのように、そのキーボードを拾いあげ。「え?え?え?」ですよ。
だってボクの目線の位置で見た光景は、何十回も見た映画WOODSTOCKのあのシーンのカメラ位置とまったく同じ光景で、これって、“奇蹟”以外のなんと表現したらいいんだろう。ほんとうに虹色のサンタクロースは、目の前に現れて全てを叶えてくれて。ちょっとイタズラもされて。。。
少年のボクは、「ああ、今の時代に日本に生まれ育って、アックスの奇蹟を体験できて、ほんとうによかった!」って、そう思ったら。次の瞬間、ボクは現世に無事帰還したのでした。

あーあ。ショルダーキーボード、壊れちゃったなぁ。って。(笑)

これまたボクの個人談であって、ちっともライヴレポートになっていないんですが。
たぶん。あの時、あの場所に居た全員ひとりひとり、それぞれの想いに、きっと同じような素敵な“奇蹟”が起こった。って、ボクは思っています。
タイムマシーンに乗って、過去の自分に会った人や、忘れていた記憶が蘇った人、信じていたモノを確信できた人、それぞれにそれぞれの“奇蹟”であったり、夢が現実に叶った瞬間であったり。

これはその中のひとりに起きた、トテツモナイ“奇蹟”のエピソードです。

あ。最後の写真は、破壊されたショルダーキーボードの写真です!
真ん中の鍵盤がへし折れ、ボディもガリガリに削れちゃってます。(滝涙)

19年間この日を待ちこがれ、ついに炸裂したSHOT IN THE DARKのイントロが鳴り響く会場に集まったファンを一声で椅子に縛りつけたウグイス嬢(11才)とのツーショット。

タイムマシーンのダイヤルは“未来”に向けてセットされているという。。。

 

≪ 第 Z 章 Veritas ! One-night Wonder ≫

後書きです。

そういえば、終演後、夜空を見上げている方が多かったんですよね。
カク言うボクは、厚見さんと御一緒して帰路についたのですが、ボーっとして道を間違え。
「あれれ? ここ清志郎さんの家の前だ〜。」って。(笑)

そうそう、会場を訪れたファンの誰もがヤキモキしているコイツは。。。

これ書いている現在、丸首タイプが、のこり3枚!
10,500円で、次が。。。って。(爆)

ボクはもう、信じきっていますので、これを読んでくださっている皆さん、一緒に信じましょう!

信じれていれば、夢は必ず叶う!

ボク達はきっとまた凄い景色に出会えるハズです。

最後に。皆さん、お疲れ様でした。最高でしたね。

恭司さん、元基さん、新美さん、マリオさん、そして厚見さん
ほんっとうにありがとうございました!

で。

また。

お願いしますっ!(笑)

皆さん、「次の約束の場所で、またお会いしましょう!」

 


 

凄まじい反響にお応えしての、追加レポートです!

≪ 第 [ 章 Rock Me Forever ≫

“V Head”

新美さん愛用のシルバーホワイトに輝くこのヤマハ特注ドラムセットは、
VOWWOWのラストコンサートとなった武道館でも使われたものです。

その時のヘッドがこちら。

写真では白地に黒文字のように見えますが、ドラムセットとマッチングさせた煌びやかなシルバーホワイトです。
そして今回、ステージ上に大量に配置された楽器群の中でも、この日の決定的な印象を与え、ひときわ目を惹いたバスドラのヘッドはこちらです。


もちろん20年前のものです。

実はリハーサル初日に持ち込まれたドラムセットのバスドラヘッドは、シルバーホワイトカラーで統一した“武道館バージョン”で用意されていました。
最後となった武道館コンサートから19年の時を経て、あの日の続きとなるように。と。

取材しながら、ボクはいちファンとして思い入れの深い「黄色が・・・」って心の中でつぶやいたのですが、ナント新美さんがわざわざ持参して見せてくださった「黄色ヘッド」は、小さな破れもあり、汚れも酷くて状態があまり良くなかったのです。

サウンドを重視しての「シルバーヘッド」のチョイスはそこに居た全員が納得のいく選択でした。

「酷い汚れでしょう。」
「これは誰かさんがステージでワインをブーって吹いたシミだよ。」
「そういえば、このヘッドと一緒にイギリス中を旅したね。」
「あの頃は、こんなにも消耗する演奏を毎日やってたんだね。」
「みんな若かったね!(笑)」
「そりゃヘッドも傷むよね。」

初日のリハーサル終了後、この黄色ヘッドを囲んで笑顔で語らうメンバーの風景を見て、あわててオルガンの影にかくれて涙をぬぐいつつ、このヘッドの持つ神通力を感じていたら。。。

翌朝、メンバー総意で「黄色ヘッドで行こうよ!」ってなったのです。

しかして、心配していたサウンドは。。。皆さんがアックスで聴いた通り!
「やっぱ、コレだよ!」って、2日めのリハーサルが初日を上回る神通力に満ち溢れた演奏であったのは、言うまでもありません。

リハーサル初日。19年ぶりとなる最初の1曲目で炸裂した凄まじい勢いの Shot in the dark で、おそらくメンバーの皆さんはいきなりタイムマシーンに乗って19年もの時間を飛び越えていました。
それはすぐ近くで取材しているボクも、周囲のスタッフも、メンバーの他には誰も乗車することができない世界であり、これこそがミュージシャン同志だけが共有できる会話なんだと感じました。
そして前述の黄色いVヘッドを囲んで語らうシーンは、旧知の友達としてタイムマシーンに同乗するシーンのようでもあり、だからこそあの日のアックスで披露された演奏が、技術や機材やノスタルジックだけでは成し得ない暖かい“ 何か ”を観客の皆が感じとれたとボクは思っています。

「実は黄色になって、うれしいんですよ。きっとボクと同じ気持ちのファンはいっぱいいますよ。」
「よし、ヤ○オクで売るか!」
「やめてください〜!ひー。」 みたいな。(笑)

 

 

“ SUPER MARIO ”

スーパーベーシスト、堀川真理夫さんに関して、問い合わせ多数頂きました。
この日のスーパーマリオ“兵器”は、ハンマーでも小判ではなく、サドウスキー5弦と、Crews Manaicのフレットレス・ベースでした。

この日、Go insane の、あの、ギターとシンセの早弾きフレーズも楽々トレースし、You're the one for me のサビ前のフレーズも楽々とカケ上がり、Siren song前で披露されたRed Houseからのギターソロでのギターとドラムの速いユニゾンまでもビシっと追従してしまうプレイに驚かなかった人は居なかったと思います。

しかも。今のご時勢、早く弾けるベーシストはゴマンと居ますが、驚くべきは、全ての音ひとつひとつが

重 い !

早いフレーズを弾いても腰が浮かず、ズシっとしたへヴィーなグルーヴをキープしつつ超絶テクニックを炸裂させるのですから、

まさにスーパー!

あ。

手前の白ワイン瓶がほぼ空っぽなのは
気にしないでください。

フレットレスは

Keep me hanging on

Pains of love

Shock waves

の3曲で使用されました。

ピック弾き〜フレットレスまで。。。

まさにスーパー!

 

 

“KORG RK-100”

追加取材記事ですからね。
壊したショルダーキーボードは、どうなっちゃったか。というと、こうなっちゃいました。

鍵盤はガタガタで、先日「これは修理不能」と、医師から死亡宣告されてしまいました。(涙)
生き返らすには、部品取り用にまるまるもう一台必要となるそうで、でももう売ってない。。。
押入れの奥で眠っているRK-100募集中です。(笑)

 
アチコチ傷だらけ。

これがありし日の勇士。

そしてこれが犯行現場写真。

 

 

“ ON STAGE ”

上の写真を見て、なんだよっ。本番の写真もちゃんとあるんじゃん!と思った方っ。

メザトイっ!さすがVOW脳です。(笑)

実は、このレポートを見てくださった方々からのたくさんの暖かい反響を頂けたことを受けて、
な・ん・と。
当日唯一カメラ撮影していた画像を追加公開させて頂けることとなったのです!!!!!
あの日の感動が再び!

このトーリ。お客さんは着席しつつ興奮しつつ。
恭司さんはレスポールジュニアで登場しました。
これほどまでにシンプルなギターを凄まじき表現力で弾き倒す恭司さんを見て

「これじゃもう誰もレスポールジュニアをトレードマークにできないな」
と思ったのはボクだけだったでしょうか。(笑)

珍しいメイプルボディに極太メイプルネックをセットしたフェンダーカスタムショップ製特注ストラト。

なんとトレモロアームは一度も使わずに幻想的な世界を表現されていました。

むせび泣き、そして次の瞬間雄叫びを上げる圧巻のチョーキング・ヴィブラートに目を奪われたギタリスト達の溜息が会場のあちこちから聴こえました。

満を持しての、このシーン。。。じーん。

凄まじい勢いで、1曲めからラストまで。。。強烈な演奏が次々と繰り広げられました。

恭司さんはこの日2本のHRを用意されていました。

本番で使用したのは、ポジションマークが赤い方です。

リハーサル・スタジオで撮影したHR(ポジションマークがアイボリー) は、本番のHRとは違うハズだ。

と、

気付いていたVOW脳な方。

さすがです。オメガタカイ!

本番直前まで2本のHRを比較し、会場の音響設備やバンド・アンサンブルの中で最高の音を追求されるプロフェッショナルなシーンの先に、この光景がありました。


全身から放出される凄まじいサウンド!


ほぼ全編にわたり、上半身を後ろにのけぞらせるまでに高い腕の位置から全体重を乗せて
シンバルやタムを一発一発叩きつけるドラマーをボクは他に知りません。


左手はヴィブラートホイールに添えられてます。
このヴィブラートホイールを駆使して、まるで吹奏楽器かのように人間の息遣いにも似たVibeで、
電子楽器であるシンセサイザーが強烈な雄叫びを上げているシーンです。


じーん。

この日のハイライトシーンのひとつ。Shock Waves で炸裂した ハイG (2オクターブ上のソ)のシャウト。
20年前よりも凄かった!と、すでに伝説となったワンシーンです。
実は。ボクはこの崩れ落ちる御姿を「酔っ払ってしまっているからかな(笑)」などと浅はかにも思っていたのですが。。。(すみませんっ。だって飲んでいらしたからっ)。。。。リハーサルで目の当たりに見せてた頂いたものは、まさに衝撃映像でした。
つま先からアタマのテッペンまで全身の血管が浮き出るようなパワーで、これはもうノドから出ているとか、クチから出ているとかではなく、顔のあたりがぜんぶスピーカーみたいになって爆音サウンドを放出しているかのような、それはまさしく身体から“魂”を放出してしまうようなシーンだったのです
それを至近距離で目の当りにしたボクのほうが、へなへなってしゃがみこんでしまったのです。腰を抜かすとは、コレか。と。
崩れ落ちるほどのシャウトを、ボクはしたことがないし、到底できるとも思えません。これはもうほうんとうに衝撃的な体験だったのですが、この日のShock Waves で皆さんの前で披露されたシャウトは、更に凄まじい「伝説となる一発」だったのです。

足元を覆うドライアイスに沈み落ち、そしてまた立ち上がり叫ぶ御姿は、まるで。。。。
酔っているとは思えませんでしたっ!(笑)

あ。このドライアイスですね。「あれはメロトロンのテープやペダル類がベトベトになっちゃったんじゃないんですか?」 と、機材マニア&VOWファンの方々から愛情溢れる問い合わせを多数頂いたんですが、あのドライアイスは最新技術のベタベタにならない、と・て・も・高・価・な、ドライアイス(笑)だったので、機材は大丈夫だったのです。

演奏はもちろんですが演出にも気合が入っていたワケです。←ここ強調。(笑)


会場中の全員が最高の笑顔でした。


アンコールで炸裂したサマータイム・ブルース!


ステージに押し寄せる観客。これぞロック・コンサート!
まるでアノ時代にタイムスリップしたかのような光景でした。

かならず、またこのシーンを。と信じて。。。
(ショルダーキーボードは壊れちゃったけど。)

1曲1曲のレポートも書こうと思ったのですが、コチラの友達のブログに、
完璧なレポートが記されていますので行ったり来たりしながら読んでください。

しっかし、すごい記憶力。これぞVOW脳!(笑)

先に御紹介した川村ケンさんのブログも、更に凄いことになっていますので、
キーボード脳の方はコチラや、コチラや、コチラもご覧ください。
これも愛、たぶん愛、きっと愛、これぞ愛。です。

 

ここに写っている皆さんと、 フレームに収まりきらなかった皆さんと、
チケットが手に入らなかった皆さんと、 次は絶対に行くぞ!と燃えている皆さんと。

絶対にまたお会いしましょう!


Written by Eiji Farner from Grand Funk Maniac


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