mellotron maniac
body

「どう。キレイでしょ。ボクが飾り付けしたんだ。」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。一年に一度って、まさか。。。」
はい、皆様もう察しがついてると思いますが、これはウケ狙いではなく、毎年、一年に一度。
伝説のメロトロンMark Uが“活躍”している勇姿です。
ちなみにジョンレノンの伝記DVDの中で、自宅でメロトロンMark U(特注の黒)を弾く映像があります。
それがこれ。

なかなか感慨深い光景。。。。だそうです。(笑)
困惑しつつも同意してしまうボクはまだまだ未熟です。
たぶん、メロトロンMark Uは、日本に一台しか無いだろうし、
もはや世界中探しても生きているMarkUはホンの数台しか無いハズです。
そんなMark Uが“ひな壇”って。。。

多くの歴史的名曲に使われたMark Uですが、こーゆー使い方が有るというのは、あのレノン&マッカートニーも、ロバートフィリップ & イアンマクドナルドも誰も思いつかなかったでしょう。

恐るべし。
で。
ひな壇からひな人形を降ろして頂いた写真がこちらです。(←困惑して文章が間違ってます。)

でもなぜかこの時点でちょっとほっとします(笑)
そして恐る恐るフタを開けると。。。。ナント!
一瞬にして、ひな壇がメロトロンMark Uにっ。(←やっぱ文章おかしい。)

これが本来の(←違った)、本物のメロトロンMark Uです。ほんとうに有りました。しびれました。
しかもこの美しいコンディション。
そしてフタの内側に収納されていた「譜面立て」には、ナントあのイアンマクドナルドのサインが!

「譜面立て」の位置を別の表現で言うと、ついさっきまで、ひな人形に踏まれていたトコの裏側。
という言い方になります。しびれます。

で。電源スイッチはコレ。


なんと車のようにキーでエンジンをかけます。
電動エンジンです。


鍵穴は左隅のココです。
ぶらさがっているのはフタの鍵です。

アメリカ産ハモンドでは大問題となる電源の周波数が、これはイギリス産50Hzなので関東地方在住のメロトロンファンの方にはお薦めです。60Hz地域だと昔の洗濯機のようにチューニングが合いません。
で。真ん中の黒いツマミがその狂ったチューニングを調整したり、急に回して驚かせたりする為のツマミですが、50Hz→60Hzで狂った分を解決できるだけの音程変化は出来ません。つまりアメリカと大阪ではどの鍵盤から何の音程が出るか覚えてから弾くしかない。とボクは即座に理解したのですが、「サイクルチェンジャーを使って60Hz→50Hzにするのが一般的」で、しかも「大阪に限った話ではない」と、たしなめられました。だって現物は初めて見るんだもーん。

日本中(世界中)のほとんどの方はボクと同じハズで、かなりのプログレオタク&メロトロンマニアの方でも写真を見たことがあればたいしたもんだ。という楽器がこのメロトロンMark Uです。
で、写真で見た事があったとしても、各スイッチやツマミの機能はさっぱりわからないワケで、そこんトコを解説しちゃおうというのが当サイトの有り方です。
すでにGrand Funk Manaic公開以来、日本人はどうしてメッセンジャーギターやWESTアンプにやたら詳しいんだっ?と、海外のGFRファンはたまげていますので、今回の目的はソレ。
なんで日本人はやたらメロトロンMark Uに詳しいんだ? 恐るべしプログレ大国、ニッポン。と。(笑)


パイロットランプ


ABCボタン

音が出るまでの儀式の順にツマミ類の説明をします。電源を入れるとオレンジ色のパイロットランプが点きます。(上の写真)
ランプの下の6ツ並んだボタン。これこそがMark U最大の特徴であるテープ自動交換システムなのです。

よく見る400S(よく見ないか)では、巨大なテープカートリッジを豆腐屋の朝の風景のようにガチャンガチャンと交換するのですが、このMark Uはスイッチを押せば“別音源”に切り替わるのです。魔法のボタンが6ツあるので、たぶん6通り。(←素人取材です)
魔法のボタンの下には「魔法の最中に鍵盤に触っちゃ絶対に許さん。」という黒い注意書きが書いてあります。
トナルト、古くは鶴の恩返しをもらいそこなった爺さんのように隣りの部屋でナニが行われているのか覗いて見たくなるのが男心です。
使い方の説明がややこしくなるので、切り替わる“魔法”の、ひ・み・つ は後でヌード写真添付で説明します。ムフ。
で。音源を選んだら次。

よく見る400Sで説明した通り、1本のテープに3種類の音が録音されていますので、魔法のスイッチで選んだテープの中から、3種類の音色が選べるワケです。

電源鍵穴の隣りの3ツのボタン(ABCボタン)がそれ。(下の写真)
ちなみに私は、メロトロンとは録音されたフルートの音やバイオリンなど「楽器の音が鳴るモノ」と決め付けていたのですが、音源は録音テープですので、いわゆるリズムトラックや効果音を録音(サンプリング)する事も可能なワケで、当然そーゆー音がたくさん入っていました。


このMark Uの場合、左側の35鍵盤にリズムトラックや効果音のテープが入っていて、右側の35鍵盤にバイオリンなどの楽器音テープが入っています。

「場合」と記したのは、テープなので交換可能なワケです。

で。初めて聴くリズムトラックには、昔の映画音楽のような良いカンジのボサノバ、チャチャ、ディキシーランドなどの“伴奏”が入っていて、それらのトラックを前述のABCボタンで選択するのワケです。
で。例えばボサノバを選んだとします。 左側35鍵盤をよーく見てください。

鍵盤に@ABC・・・と番号シールが貼ってあります。。。例えば@を押すとKeyとなるコードの伴奏トラックが鳴って、Aを押すとコード進行が変わる、みたいなカンジ(素人取材)で、鍵盤でコード進行を選択して“曲”となるワケです。
隣りの鍵盤が「半音上」というピアノ的な“常識”は通用しません。(笑) 
3度上だったり、マイナーだったりメジャーだったり。(素人取材) 伴奏ですので、いわゆる“和音”なワケです。たぶん、楽譜にこの番号を書いて演奏したのではないでしょうか。
で。左手で鍵盤を押して伴奏を選び、その伴奏に合うメロディを右側鍵盤で弾く。というのがMark Uの愉快な使い方なのです。

愉快な光景はこんなカンジ。

その他にも鍵盤楽器なのにスパニッシュギターの音が飛び出したり。録音されている“伴奏”を使ってレコードにしちゃったりもできるワケです。てっきりジョンレノンが弾いてると思っていたCONTINUING STORY OF BANGALOW BILLのイントロが入っていたり(笑)
読んでいて気付かれたと思いますが、つまりコレ、現代のサンプラーと同じなのです。
フルートやバイオリンなどの哀愁の音が出るだけではないのです。ボサノバを伴奏にけっこう楽しく演奏できたりするのです。

そういう陽気な使い方をしているプログレやハードロックのバンドはあまり居ないようですが。


【ツマミ】

 


【ABC MIX スイッチ】

 


【ボリュームペダル】

白いツマミは音量コントロールだったり、リバーブ調整だったり、なかったり。(素人取材)

リバーブは内臓スピーカーの左側だけからしか出なかったり。出たり。出なかったり。( 〃 )

で。シンメトリーに右側35鍵盤側にも同じスイッチやツマミが装備されています。(写真上 ツマミ)

こちら側は王道のメロトロンサウンド用です。

王道メロトロンサウンドといえば。

「1本のテープに3種類の音が録音されていて、それを拾うテープヘッドをストラトのハーフトーンみたいに中間で止めると、隣り合わせの音色が混ざって出力される。」 と、よく見る400Sで説明したアノ機能も、ちゃんと付いているのです。それがコレ。(真中の写真 ABC MIX スイッチ)

つまり、右側35鍵盤では、“混ぜ音色”も出来るワケです。

右側35鍵盤と、左側35鍵盤が全く同じだと思っていたボクと貴方は間違っていたワケです。

よく見る400Sを2台接着しても、それはMark Uには成りえないワケです。

余談ですが、その逆のMark Uをノコギリで半分に切る。というのはアリです。切ったヤツが居るらしい。という伝説は事実です。イングランドというプログレバンドのキーボーディストが日曜大工仕事でやってのけたそうです。現物見れば切れる代物ではないので尋常なハナシではありません。

昨年、そのイングランドが復活来日した際に、Atsumiさんとのメロトロンマニアック東西横綱対談が実現して、その模様がEURO-ROCK PRESS Vol.31に載っています。たいへん興味深く拝読させて頂いたのですが、さっぱりワカリマセンでした。(笑)。日本語の文章なのに“注釈(翻訳)”がついていて、その翻訳を読んでもなお幕内力士にしか理解できない奥深い取り組みとなっています。

あう。逸れた。

←足元のペダルは音量コントロールです。 

完全に音が消えるまで下がりません。ハモンドオルガンと同じです。このペダル操作でより哀愁を誘ったり、クライマックスを迎えたりできます。

音量調整ではなく、感情調整ペダルなので音量がゼロにならない方が良いワケです。

では、そろそろ脱がせてみましょう。裏蓋を外すと、中はこうなっています。

両側面のスリット格子部分が左右の12インチスピーカーであるのが確認できます。右35鍵盤は右スピーカー、左は左から出力されます。
右35鍵盤のリバーブ音のみステレオ感を得る為に左のスピーカーから出力されます。リバーブ音はチープだったり。なかったり。(笑)

あ。脱がせた制服の写真はこれです。
けっこう簡単にパカッって外せます。

それだけメンテ(修理)の機会が多いという事でしょうか。

元々移動用として設計されていないため、ツアー等に持ち出すとたいてい壊れてしまうそうです。

壊れやすいのでKクリムゾンがツアーに3台持ち歩いて常時バックアップを怠らなかったというエピソードはあまりにも有名です。

で。右下に貼ってある気になる銘板はコレ。

内部にもう一枚ステッカーが貼ってあり、そちらは21世紀の現在、このMark Uを唯一メンテナンスできる。という会社のもの。

このMark Uが1997年にメンテナンスされたと記載されています。



【右鍵盤用アウトプットジャック】
「なんだこれ」

左右鍵盤が独立しているので、それぞれのパワーアンプが2基と、電源用巨大トランスがズラリと並んで置かれています。
真ん中の電源装置に電源コードをつなぎます。
写真では右下のアウトプットから“伴奏用”左35鍵盤の音を外部アンプへ出力しています。
このアウトプット端子がクセモノで、日本では使われていないヨーロッパ規格のへんてこな端子です。

当然現地の専用のジャックしかささりません。秋葉原では売ってません。
常人を受け付けないハードルの高さを感じずにはいられません。

で。奥のタテジマ模様に注目。これがテープです。ズラリとブラさがっています。


【右35鍵盤用テープ】


【左35鍵盤用テープ】


【テープ巻き上げ】
テープの色が左右で違いますね。
で。黄色いのが「巻き上げ」ローラーです。
鍵盤を押すと、この巻き上げローラーがテープを巻き上げていきます。
← こんなカンジ。 

で、鍵盤から指を離した瞬間、下までストンとローラーが落ちます。ニュートンの発明した万有引力を有効利用しています。Atsumiさんのように万有引力がローラーを落としきるのを待てずに早く弾いてしまう方のために、よく見るとローラーには下からスプリングが掛けられています。巻き上げたテープの向こうに、だんだん引き延ばされて苦しんでいるスプリングが見えますでしょうか。で、指を離すとイッキに落ちるワケです。見てると楽しい。

ちなみに、一番上までローラーが上がって、テープを巻き上げきってしまうと、そこで音は止まります。

鍵盤を押して、音が伸び続ける時間は。。。時間にすると。。。。酔って片足バランスで立っていられるくらい。(The素人取材)

ZONEという女の子4人組の「Z」というアルバムの最後の曲(ヒット曲)のエンディング部で重厚なメロトロン・サウンドが聞けますが、いちばん最後にこれでもかと延ばした音が、テープが巻き上げきってシュッと途絶えます。
それが、Theメロトロン。(←誰か時間を計ってください)
普通はフェイドアウトするトコを、メロトロンマニアの演奏者の方がワザとやったにチガイナイ。「これぞメロトロン!」とか叫びつつ(笑)
あう。また逸れました。。。。つまり、ストンと一番下まで落ちてくれないと、次の音の持続時間が短くなってしまうので、万有引力まかせにしてられない。と、スプリングで落下を早くしたようです。
そんなの見てて楽しいのか。と、思った方のために特別にキングクリムゾンの“宮殿”を弾くとどうなるのかをお見せしましょう。


【宮殿@】

【宮殿A】

【宮殿B】

【宮殿C】

【宮殿D】

【宮殿E】


【宮殿F】

ほうら、楽しいでしょ。

ゆるゆるとローラーが登っていくんですよ。で、ストンと落ちる。

ゆるゆる〜ぅ、ストン。 ゆるゆるゆるぅ〜ストン。 ゆるゆストン。ゆ、ストン。 ゆるゆるゆるゆるぅぅぅぅ〜・・・って。

聞こえてきましたでしょうか。あのエンディングの。。。

ちなみに以前、よく見る400Sで同じ曲を弾いて頂いた時に「おおーっ!」って、大感動したのですが、こっちの音こそがレコード通りでビックリしました。部屋が“宮殿”の色になるのです。う〜ん、上手く説明できない。

常々「400SとMark Uの音は違う」とハナシに伺っていたのですが、プログレ初心者のボクでもはっきりとその違いが分りました。クリムゾンマニアなら泣き濡れます。
あ。ビートルマニアの方も、このMark Uから奏でられるSTRAWBERRY FIELDS FOREVERのイントロを聞いたら泣き崩れます。
それほどまでに鮮明な“記憶の音” そのまま。

ほんとうに素晴らしいのです!


では次に上を脱がせてみます。上ブタは、大工の工具箱のフタと同じく、後方へスライドして外します。


【上ブタ】 

【上空からの写真】

壁に背中がついたままでは上ブタが外せません。
200kgものMark Uを、いちいち前へせり出して壁までの距離を確保せねばならず、たぶん不評だったので400Sの上ブタは上へ外せるように“進化”したのでしょう。

上空から見下ろした裸体はコレ。

【真空管式プリアンプ】

で、左右鍵盤の真空管式プリアンプBOXはここに収納されています。

手書きの R と Lの意味は分りますね。

で、

F って何?

どの辺にこのBOXをネジ止めするのか迷ったタメライ傷(ネジ穴)が2個あるので、取り付けてから「もうちょっと左の方がクールだな」などと少しずつ移動して、3回めにココに落ちついた。

というコダワリの経緯がうかがい知れます。

ならネジ穴埋めろよ。というのは日本人的発想です。

別角度から、見ると。左右こう。


【左鍵盤の内部】

           【右鍵盤の内部】

はい。注目!
先ほどのテープ音源自動切換え“魔法スイッチ”の、ひ・み・つ。が写っています。

プリアンプBOX下のトイレットペーパーみたいなローラー。右鍵盤の写真だとそのローラーに録音テープが大量に巻きついている様子がよく見えます。
先ほどの黄色い巻き取りローラーは、裏側に見えているズラリとブラさがったテープを巻き取るワケで、ブラさがっているのは、せいぜい50cmくらいの長さなワケです。
なのに、このトイレットタイプのローラーに大量に巻き付いているテープは。。。そうです。わかりましたね。
たぶん、3メートル以上あるテープに、@ABCDEの音色を50cmずつ録音しておいて、魔法のスイッチで「B出て来い」「@出て来い」と蛇使いのように呼び出すワケです。

で、笛も吹かずにどうやって呼び出すのか。というと、カセットテープレコーダーでよくある「頭出し」機能です。
CDだとアタリマエ。テープレコーダーだと無音部分を感知して早送り&巻き戻しが止まる。というアレです。
CD世代には衝撃を与えかねませんが、無音部分を感知するので曲がつながっているメドレー曲の頭出しはできないのがTheカセットテープです。
たまに、勢い余ってちょっと行き過ぎたりします。


【頭出しヘッド】

で、35鍵盤分の35本のテープを頭出し感知するのは面倒なので、よく見ると一本だけ、隅っこのテープが手前に伸びていて、これが感知専用のテープです。

上の写真を見て「35鍵盤なのに、上から見たらテープが36本あるぢゃねーか。」と気付いていた貴方は、真のオタクです。

このテープだけが何やらケーブルのつながっているユニットの上を通過しています。このユニット部に“頭出し感知用”テープヘッドが有るワケ。

で、魔法スイッチを押すと、早送り or 巻き戻しが始まって、狙った「頭出し」で止まる!

Coo!説明上手だなぁ〜。
更にこのMark Uの凄いトコは、

「頭出し感知しました」

「すみません、ちょっと行き過ぎました」

「よし、ちょっと戻れ」

「す、すみません、今度は逆に戻りすぎました」

「気にするな、ちょっとだけ進めろ」

「ぴったり合いました!」
と、

自動で、ちょちょちょ。ちょちょちょ。ちょちょちょ。って行ったりきたり微調整するのです。

デジタル回路は入ってませんので、アナログ信号を頼りに「す、すみません」「気にするな、」とやるワケです。

すごい。温かい。

楽器はオーナーのキャラクターが反映されると聞いたことがありますが、このメロトロンMark Uは、温かくて、強烈で、デカイ。

よーく見たら、ここに掲載した写真では、どのくらいデカイのかがイマイチ伝わらないので、最後にこの画像で「The メロトロン・マニアック」をシメたいと思います。

Great Thanks, The MELLOTRON Master Atsumi-san !!


大きさの目安として、テレビは29インチ、雛人形は親王飾りです。

※注

おひな様と、おだいり様の間に鎮座するマーシャルアンプは実はミニチュアです。
大きさの目安にしないでください。そこまでデカくありません。
ちなみにこのミニチュア・マーシャルは、映画「スパイナルタップ」フランス版DVDボックスのケースで

「こっちの方がMark Uよりもレアなんだよっ!」

とは御本人の弁です。

そ、そ、そんな。。。シメにならないぢゃないですかっ(笑)

《取材後記》

マチガイナク世界最強メロトロニストの第一人者であるAtsumiさん宅を訪問させて頂いて実現したこの徹底取材ですが、撮影のために200kgもあるMark UをAtsumiさんと2人がかりで移動させての大仕事となってしまいました。

ぢりぢりと、ケムンパスのように少しずつズラして引きずりだしたのですが、撮影初日は時間の都合で引きずり出したまま放置して帰宅させて頂き、翌日再び伺った際にはナント“ひな壇”としての位置に復帰していました。

「おひとりで戻せたのですかっ!?」と驚愕するボクに「慣れているから」とお答えになられたAtsumiさん。
やはりメロトロンの扱いは“最強”なんだな。と感嘆することしばし。。。

ほんとうにありがとうございました!

- 追伸 -

ムーディーブルースのマイク・ピンダーのMark Uはピンダトロン、
それを真似して、成毛滋さんの400はナルモトロンと呼ばれていました。

てなわけで、 AtsumiさんのMark Uは

hinatron、ヒナトロン

とこれから呼ぶことに決まりました。

 


 

MELLOTRON M400S

さて。世界中から物凄い反響(お叱り?)を頂いた、驚愕のひな壇。ぢゃなくて。Mark U“ヒナトロン”の公開から早くも一年半が経ちました。
脅威のコンディションを誇る黒いメロトロン(最終型)と、Mark U“ヒナトロン”。。。これだけでも正にメロトロン・マニアックなのですが、ムフ。あるんですね、もう一台。それがコレ。最初期型のメロトロンM400Sの、“白”。

これはAtsumiさんが最初に愛用され、現在は御友人が大切に保管されているメロトロンです。
あんまり見ません。普通の民家の居間にメロトロン。
まずは早速、いつものように開けて診ましょう。(開けるのが好きなの)

すでに当サイトの黒いメロトロンでもはおなじみの光景です。

が。ナニカが違う。。。。ハイ、お気づきですね。色が白いんで、正面の中央奥の蓋を止める金具の下に、シリアル番号が記されているのです。

#958です。

見事なフリーハンドで、しかも鉛筆で、書かれています。
黒いメロトロンでは気づきませんでした。黒に鉛筆。そりゃ誰にも気づかれないでしょう。。。テカ、鉛筆って。。。(笑)


ほらね。鉛筆でしょう。

これなら作ってる途中で、

「ごめん、こっちが先に出来上がっちゃった。」

「へーキだよ。消しゴムあるし。」

みたいな和気藹々とした工場内の人間関係が保てます。
昨今、生産管理に異常にナーバスになってしまったこの国の、いったい何人が、この心温まるシリアルナンバーのオーラカさを理解してくださるのでしょう。

 

さて、更に容赦なく、ばらしていきましょう。

35鍵という特徴的な鍵盤の両サイドにある白い部分は、このようにパカっと外せます。

ブロックを止めているのは、昔のタンスの扉や引き出しの内側で、よく見た覚えのあるレトロな止めガネです。

昭和の哀愁を誘います。

 

それでいて、日本の止めガネとは異なる異国情緒あふれる舶来品のカホリ。。。

そして、その金具に寄り添うように、パカっとはずしたブロックがどっちが右で、どっちが左だったか、けっして見失わぬよう、きちんと、LRが記されています。

幻想をも駆り立てる古代エジプトの象形文字かのような、ようするにコキタナイ字ですな。

もちろん鉛筆で。(笑)

んがっ。こっこっこれはっ!

ここで、この画像のマチガイ探しに気付いた方は、真性(重病)のオタクです。

そうなんです。この右ブロック。#941って書いてあります。

はい。本体のシリアルは、#958でした。もいちど検証。

 

あきらかに、マチガエちゃってます。
ここで、メロトロンのナンタルカが垣間見えます。おそらく。。。消しゴムは無かったのでしょう。(爆)

そして、ひとつの命題が、ここに課せられたのです。

この、誤って装着されてしまったブロックを、正さなければなりません。

メロトロンの名誉にかけて。

「#941のメロトロンをお持ちのオーナー様。ここに、あなたの右ブロックが有ります。そこにある右ブロックと取替えっこしましょう!」

 

ご連絡をお待ち致します。

と、言いつつも、もし。#941オーナー様と出会う事ができて、がしかし、
そこにはまた、別のシリアルのブロックが取り付けられていたとしたら。。。
もしも3台ものメロトロンのブロックが、メビウスの輪のごとくスリ替えられていたなら。。。
いやさ、もしや4台、いや5台。。。
実はブロックは#941〜#958の間、ランダムに「はまればOK」で出荷しちゃってたとしたら。。。

ひぃぃぃぃ〜。

ここまで読んで、「お、お、おれのメロトロンは、大丈夫なのかっ?おいっ!」と、焦った貴方。

大丈夫です。普通の家には、メロトロンはありません。

ですが、何人かのメロトロン・オーナーさんが、今頃、きっと、鍵盤ブロックの裏を確認している事でしょう。(笑)

これ、全文、英文でアップすべきかな?世界中のメロトロン・オーナーが、あわてて確認したくなるように。
「あうっ、オレのは黒で読めねえ。」とか、そりゃもう大騒ぎになってしまうかもしれません。

そういえば、ヒナトロンを公開したら、「英文にしてくれ」と、ホントに海外から多数メール頂きました。が、あのオチャラケた文章、英語にできなくて。(笑)

いつものように、どんどん逸れてきましたので、軌道修正です。

やっぱり、白のメロトロンには、独特のタタズマイがあります。

記憶の中の“光景”に鎮座するのは、やっぱり白いM400Sという方も多いのではないでしょうか。

かのクレイグ・フロストもしかり。

(注:筆者GFRマニア)

今ではメロトロンに関する情報もまた巷に溢れていますが、鉛筆書きシリアルが、しかも入れ違ってたりする。なーんて情報は、ちょっとオモローかな。などと、ここで筆者は大満足してしまい、これ以上バラさずに、そーっと蓋を(壊れる前に)閉めたのでした。

取材に協力してくださった、ダイスケ&コースケさん。
(↑こう書くと漫才コンビみたいになっちゃうな。)

ほんとうに、ありがとうございました!
ライヴで、貸してくださいっ!(爆)

あ。ヒナトロンの連続写真で説明したテープが巻き上がってストンと落ちる光景が、イマイチよくわからない。
という投書を頂きましたので、今回は動画です。
筆者が唯一弾ける、永遠の名曲。の、あのフレーズで。(笑)

(ご注意)再生にはQuickTime が必要です。

巻き上がりきって、オカシナ事になるまでの時間を誰か測って教えてください。


 

≪編集後記≫

このM400Sを当サイトでの公開にあたり、かつて本機を溺愛し、多くの愛情と金を注ぎ込まれたAtsumi氏よりコメントを頂戴致しました。

「ボクにとって、懐かしのM400Sが、こうしてこのメロトロン・マニアックに登場できて、
なんか、若い頃、散々○○○しまくった、
まるで昔の彼女をネット公開されたような気恥ずかしさを感じずに居られませんっ。(笑)」

≪筆者よりお願い≫

コメント中、不適切かと思われる表現が御座いまして。(笑)
取材時にはハッキリと、大きなお声でのオコトバにてコメント頂戴したものの、
取材場所となった日曜昼のファミレス内が一瞬静まり返った世間の反応を考慮し、
筆者独断にて、家族でも楽しめる楽しいクイズ方式とさせて頂きました。
氏とメロトロンのイメージを保つ為にも、○○○部分の答えは「プレイ」とします。(←演奏の、です。)
うーん、フォローになってないか。。。テカ、無理ですっ。

てなわけで、 この白いM400Sは

モトカノトロン

とこれから呼ぶことに決まりました

 

メロトロン・マニアック。
めくるめく禁断の宮殿へ、ようこそ。
出口はこちら

close