synthesizer

Mini-moog & Taurus

グランドファンクにはシンセサイザーなし。というのが“常識”であり、「なぜモーグ?」と思われた方も多いと思います。
21世紀になって発売されたデジタルリマスターCDに未発表音源がボーナストラックとして発表されたのは記憶に新しい所ですが、前述のリングモジュレーター同様、あったんです!

それは名盤「We're An American Band」に収録された
『THE END』 という曲です。

いわゆるボツになった曲なのですが、これがもし発表されていたら、アルバムタイトル曲と同じくらい新しい境地へと進んでいた可能性すら感じさせるカッチョイイ曲です。
その曲の間奏はギターソロでもオルガンソロでもなく、正にシンセソロなのです。
恥ずかしながら私、シンセというとピニョ〜ンといういかにも機械的な発信音のイメージがあり、GFRには不似合いと勝手に思い込んでいたフシがありまして、ま、無知だったワケです。
ミニムーグ?昔の単音しか弾けないシンセでしょ。ってくらいの知識。
で、教わりました。
先ず、「moog は、モーグって読むんだよ。ムーグって言うと怒られるんだよ。」 から始まって、「こーゆー音だよ。」と。いつもの爆音で!

ブギャブギャギャーゥイ〜ン、ギョギョギョギョーゥイゥイィィィイ〜ン!

読んで文字の如し、表現不能なワケですが、例えるなら、ひぇっ、警察が来るんじゃないか!?って咄嗟に思うほどの破壊的なサウンド。
中学生の時に始めてジミヘンの星条旗をWoodStockで見た時のあの衝撃よりも「ヤバイーッ!」ってカンジ。
単音しか出ない。っていうのも誤り。発信音源は3ツで、1ツの発信音をルート音として、その他の発信音を押さえた鍵盤の3度上とか5度上に設定すれば和音が成立するというか、鍵盤で弾いたメロディに5度上のハモリが追従して、ものすごい音圧で炸裂するワケです。
更に左下の白いダイアルレバーをストラトのアームのように操作して、おまけに片っ端からツマミをグリグリまわしてイジめると、この楽器はこの世の物とは思えない悲鳴をあげるのです。
おまわりさんっ、なんか大変な事が起きてるみたいです!って通報されそうな。
テカ、こんなんなって操作するのをモーグ博士は想定して作ったのかな?と、呆然としまう程この楽器を縦横無尽に操るAtsumi先生のデモ演奏が凄過ぎました。
不肖ながら「うわっ、これ欲しい!」と思ってしまう程、ハードロックなサウンドの楽器です。

そんな先生は常々「レア楽器ばかりのGFRの中で、クレイグフロストの楽器チョイスは正に王道の中の王道。なのに何故、ミニモーグを導入しなかったのかな?」と疑問に思っていらしたようで、私も「ここまで偶然にクレイグフロスト使用機材とAtsumiさんの使用機材が同じなのに、なんでクレイグはミニモーグは使わなかったのかな?」と思っていたのですが、THE END を聴いて、やっぱり、やっぱり。でした。

ででで。ある日。
そーいえばタウラスっていうベースシンセペダルも有るんだけど、興味ある?と、すっかりモーグの虜になった私に興味深々のお話を頂きました。
あの、警察が来るようなドキドキ感が忘れられませんので当然二つ返事です。
で、「持っていっていいよ。」とお預かりしたのがコレ。


モーグ・タウラス。

でかっ。

「大きいスピーカーじゃないとダメよ。」との教えの通り、さっそくWEST&JBL D-130F 15インチスピーカーにつなぎいで足で「えいっ」って踏んでみました。

「げギょォーン、ど死ねぇえい!」

ゲルショッカーというか、死ね死ね団というか、そーゆー物凄く暴力的で破壊的な重低音が部屋中に響き渡り、吊るされたギターをグラグラ揺さぶって、あぶないっちゅうの。(ディケイっていうサスティンが持続するスイッチがONになっていたので、足を離しても音は止まらないワケ。焦った焦った。)
更にラウドネスっていうツマミ(足で操作)があって、それを 「うぉおー!」 って上げると、なぜかカミサンが部屋に飛び込んできたりして、張り倒されたりします。ドメスティックバイオレンスな楽器です。
Atsumiさんはこれで何をしでかしたんだろう。「持っていってくれ。家に置いておきたくないんだ。」って、やっぱDVなのだろうか?訊きたいケド、そうすると爆音デモ演奏しに来てくださっちゃうんで、そうするとたぶんもっとヤバイんで、訊けないし。(笑)
これはほんとヤバイです。キースムーンみたいな楽器です。で、キース君を怒らせないようにチョボチョボ踏んでいたら、アレ?なんか聴いたことある音がでます。
はい。私の場合、モノサシ&ボキャがGFRのみなので、GFRの曲で聴いた音のハズだと鋭く分析し、トナルト、GFR唯一のシンセ導入曲は一曲のみです。

『THE END』。

なんとイントロのリフは正にこのタウラスの音、そのものです。
そうかっ!クレイグはタウラスのリフにミニモーグのソロを大フィーチャーして、1973年にGFRにシンセを導入しようとしたんだっ。(で、却下されたワケだ。)
これはGFR進化論に於いて大発見です。
「大きいスピーカー」→「DV」→「チョボチョボ踏む」→「大発見に至る」と、やはり先生の教えは奥が深いです。

思えば、プログレ百科事典のような大先輩のメル派さんに、THE END は強烈にかっちょいいとアドバイス頂いた時点で気付くベキでした。
プログレに内包するモーグなニオイを嗅ぎつけていらしたんですね。さっすがです。

あ、ミニモーグにモーグ博士のサイン&メッセージが書いてありますね。
「そうやって使うのは想定外」とは書いてませんね。(爆)

モーグ、ほんとうに強烈にカッコイイ、ハードロックなサウンドです。

GFRも使ってました!

( 当時は発表されませんでしたが。)


― 追記 ―

モーグ博士のサインとメッセージは何が書いてあるのかという問い合わせを頂きましたので、アップの写真を追加します。

なんて書いてあるのか英語なのでサッパリワッカリマセ〜ン。
生涯ハードロックしか弾いちゃダメヨ〜。って書いてあるみたいです。
そして、なんと。サインは裏にもありましたっ!

 

ちなみにフュージョンの奏者はコントロールパネル部を寝かせて使う人が多くて、ロックの奏者はこのように立てて使うらしいです。
で、この角度がカッコイイ。
立てないと、Moog博士のサインが見えないワケで、フュージョンはイカン。立てて、ロックを。という強烈なメッセージがホニョホニョ〜って放射状のサイン波の絵画から放出されているワケです。

強〜烈なロックサウンドを放つこの素晴らしい楽器を発明された
モーグ博士のご冥福を心からお祈りします。

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