かつてGFRのライブ音源は永遠の名盤「LIVE ALBUM」と、最高傑作「Caught in the act」だけでした。前者は1970年、後者は1975年のパフォーマンスをほとんど手を加えずに“生”でレコード化したものでしたが、これら2作の間には5年もの歳月が存在しており、年間のほとんどをライヴ活動で費やしてきたGFRにとって、あまりにも少ない音源と言わざるを得ないでしょう。
これらに加えて「Live1971」が数年前に発売されたのは記憶に新しい所です。1971年と言えば、ちょうど来日された時期ですので、コレを聞くと来日公演は恐らくプロモーターの要請で一年昔のLIVE
ALBUMのセットリスト通りの演奏を行い、本国でのライヴではオルガンを取り入れた新しいセットリストで演奏されていたのがわかります。
そして、その他のライヴ音源はと言うと日本のみで発売された1974年「Shinin'Onツアー」のライヴ映像ビデオ&レーザーディスクが唯一であり、この跳び跳びの音源が「GFRはキーボードが入って変わってしまった。」と、多くのファンに強い印象を与えたようです。
先に2作のライヴ盤を“生”と私が断言したのは、私は当時のライヴの海賊盤音源を聞いた事があるからです。Caught in the actも“生”です。手を加えてません。
恐ろしいことに、私の聴いたそれらの演奏は、全てがそのままライヴ盤としてリリースできるレベルのパフォーマンスだったのです。(もちろん音質は客席でテープレコーダーで録音したようなレベルでしたが)
海賊盤に興味のある方ならば、私の言う「恐ろしい」という意味を理解されるでしょう。多くの有名なバンドのライブには必ず「アタリ」「ハズレ」があるのです。体調不良であったり機材トラブルであったりメンバー間のコミュニケーションであったり、天候であったり、「ハズレ」原因は様々ですが、反面、「アタリ」に出会う喜びもまたライヴの醍醐味です。
ト・コ・ロ・ガ、GFRの“不調”に出会った例がないのです。
コレ、恐ろしいことです。
昭和46年の日本で、嵐の中、“生”のLIVE ALBUM を、そのままのクリオリティで“生”再現して見せてしまうのですから 「あれはクチパク」と思う方も居るワケです。モノサシの長さがあまりにも違うんで測定不可能な人が居てもおかしくなかったんでしょう。(それをまことしやかに言いふらした人はどうかと思いますが。)
そして私自身、ハタと気付いたのです。
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@ 1970年の「LIVE ALBUM」
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A 1971年の「LIVE THE 1971 TOUR」
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B 1971年末には「戦争をやめようツアー」があったハズ。
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C 1972年にはクレイグが参加しての「Phenix ツアー」があったハズ。
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D 1973年「We're An American Band ツアー」があったハズ。
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E 1974年 「Shinin' On ツアー」を収録した
「GRAND FUNK LIVE THE AMERICAN BAND」
日本で発売されたあのビデオ&レーザーディスク
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F 1975年1月から始まった「All The Girls In The World Beware!!! ツアー」の模様を収録した。
「Caught in the act」
(以降ライヴ活動中止〜76年解散)
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つまり、B C D が、すっぽり無いのです。
注目したのはEFがほとんど同じセットリストであるにも関わらず、そのパフォーマンス完成度がFでは完璧な事でした。
言い方を変えるとEのほうが荒々しくてガッタンガッタンしてて@に近い(あたりまえですね)。
この変化を一例とすれば、BCDが無いのは、ライヴバンドGFRの進化過程を全く知らずに最初と最後だけで語るに等しいワケです。
トナルト、一番聴きたいのは・・・・そうです。真ん中Cです。
在るんです。ナント、アメリカのTVで、1972年PhenixツアーのN.Y.マディソン・スクェア・ガーデン公演を収録した番組が放送されたのです。
その映像が一日も早く正式にリリースされることを祈りつつも、それをアメリカ人の友人に見せてもらった者として、こっそりどうだったのか報告しちゃうと、「ぴったり。@とFの中間の音」なのです。
荒々しさたるや、正に永遠の名作「LIVE ALBUM」、そしてアレンジは後の最高傑作「Caught〜」へとつながる、正に中間。
あんなに荒々しいオルガン入り4人バンドを私は見たことありませんし、適切な表現ではないのですがDeepPuepleをLIVE ALBUMっぽく荒々しくしたカンジというか、いやヤッパりグランドファンクなのです。LIVE
ALBUM にやたら荒っぽいオルガンが加わっただけ。暴れる人数が一人増えてよりパワーアップした。みたいなカンジです。
加入したばかり(当時はゲスト)のクレイグフロストの壮大なオルガンソロもフィーチャーされていて、ナントそのソロではオルガンにリングモジュレーターをかけてシンセサイザーのような物凄い音を炸裂させていました。
はい。前置き、ちょっと長かったです。
これがそのリングモジュレーターです。
これもまた暴走キーボード&ビンテージ機材なんでも先生 Atsumiさん所有のマエストロ社製のリングモジュレーターです。
ナント。日本にはほんの数台しか現存しません。ホントに恐るべしです。
DeepPueple「Live in Japan」のSpaceTrackin' で、ジョンロードがウヒャヒャ〜ってやるアレも、これと同じマエストロのリングモジュレーターです。
手動でツマミを動かしてあの効果を得ますので、ON-OFFスイッチまでも手動用にピンスイッチです。(昔、写真で見て、なんでフットスイッチじゃないんだろ?と思ってました)
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クレイグのハモンドB-3(クラゲになる前)は大改造がしてあって、足は軽量化のために角材になっているし、クラビネットは固定してるし、そのクラビとハモンドの間に“謎”のコントロールパネルが存在します。
もしかすると、これがリングモジュレーターなのか?とも思いましたが映像ではオルガンの音量コントロールに操作しているものの、肝心のリングモジュレーター効果が炸裂しているときはナニやら左手で下のほうでこそこそ操作しているようでした。(←映像が汚くてよく見えない)
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なので、映像からはリングモジュレーター本体の確認は出来なかったのですが、時代考察からするとマエストロ社製以外考えられませんし、実際に目の前でAtsumiさんがデモ演奏してくださったサウンドは、まさしくクレイグのそれでした。
「このリングモジュレーターは壊れやすくてね。何度も修理したんだ。特にツマミを操作するときは丁寧にしてあげないと。」
と解説されながらも、いつものように(笑)段々音量は大きくなるわ(一番左のスライドツマミが音量調整です)、最初はウヒャヒャ〜だったのがが、ビィヒャヒャ〜になって、最後はブギャギャギャギャ〜!と、音の壁が崩壊したようなサウンドが炸裂!した次の瞬間。
ポロリ。。。。
『 あ"――――――――――― ッ !! 』
当然といえば当然のごとくツマミが折れて取れてしまいました。(爆笑。。。しそうなのをグッとこらえて)
『 と、と、と、取れちゃいましたね。。。。』 と、私。
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で、修理です。
国からの指定待ち、保護絶滅種ですから。
(いいのか素人がやって?)
中はこうなってます。たぶん本邦初公開画像ですね。
マエストロのリングモジュレーターの中見ただけでも自慢できますね。
今の技術ならタバコの箱くらいに収まりそうな回路が、A4サイズより大きなシャーシに収納されています。
大きいことは良いことです。
立派に見えます。
高く売れます。
そしてこれが修理している画です。
転がっているのは真っ二つに折れたレバーですが、この通り完っ璧に再生できました。
ついでに「折れる原因」がその瞬間を目撃して、先生の操作方法にマエストロ社の設計理念が耐えられない事と判明しましたので、強力に補強しました。象が踏んでも壊れません。(←ウソ)
修理した真ん中のスライドツマミ以外の強度(オリジナルのまま)に一抹の不安はあるものの、これでまた伝説のリングモジュレーターサウンドは強烈に鳴り続けるワケで、めでたしめでたし。
はぁぁぁぁ、直ってよかったぁ〜。(カナリ緊張しました)
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まとめると。
1972年、Phanixツアーでクレイグフロストはリングモジュレーターを使ってオルガンソロを披露していた。
2006年、日本には数台しか現存せず、GFRサウンドの検証中にそれは一回壊れた。
そーゆー信じられないような、面白い体験が、この暴走機関車の上は次々と起こる。
とゆー事です。
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