HAMMOND ORGAN

GFRといえば、ハモンドオルガン・サウンドです。「戦争をやめよう」の1曲目、Footstonpin' Music では恐らくWESTにつないだディストーション・オルガンが炸裂します。この曲はMARK師匠がひとりでオルガンを弾いていますが、次作の「Phenix」以降、クレイグの参加により、GFRに於けるオルガンサウンドの比重は増えていきます。
それを機に、それまで“背景の空気”を支配していたメルのディストーションベースは、その役割をクレイグに譲り、故にそれ以前からのファンに「GFRは変わった」と評される事となります。
私個人も強烈無比なメルサウンドの信者ですが、クレイグ参加以降、音色の変化と同時にグルーヴしながらもハネたベースラインへと進化したメルと、クレイグのパーカッシヴなプレイが織り成す、あの強烈なGFRサウンドの信者でもあります。
MARK師匠、クレイグ共にハモンドB-3を愛用し、ステージではMARK師匠はWESTのミキサーアンプ(ソリッドステート250W)、クレイグはWEST Fillmore (真空管200W)で増幅した信号をレスリースピーカーで鳴らしているようです。
レスリースピーカーの許容入力は40Wですから、フルドライヴさせているのではなく、どちらかというと歪ませずに鳴らす目的のアンプチョイスだったようです。
2人のコンビネーションは、MARK師匠がオルガンを弾く曲ではクレイグはホーナー・クラビネットを弾くという役割分担が決まっていたようですが、ライヴ盤Caught in the act の Footstonpin'Musicではコーラス部分で2人が同時にオルガンを弾いていて、その重厚なサウンドは正に圧巻です。さて、私自身、ステージ上に置かれたハモンドの姿は何度も見たことがありましたし、そのサウンドもライヴ会場やCDなどで知っていました。しかし今回の取材で目の当たりにしたその風貌、サウンドは想像を超えた驚愕のものでした。さて、まずはこの迫力の写真をご覧ください。

これはハードロック黄金期の最高峰、余りにも有名なハモンドC-3です。GFRご用達のB-3と足部とサイドパネル形状が異なりますが、共通スペックから爆発するそのサウンドは、正しくGFRのアノ音そのものです。
間直に見たこの強烈な風貌のハモンドオルガンは、その巨大さといい迫力といい、ヴィンテージギターを手に持つ瞬間の緊張とはケタ違いの、正に楽器の発するオーラに押しつぶされそうな興奮というか、例えるなら感動的な巨大な絵画を目の前にしたときのような感覚にしばし動けず立ちすくんでしまうほどでした。

「なんじゃこれはーっ!(←絶叫)。。。す、す、すごい。(←小声)」 が、
私の口から出た言葉です。(笑)

なぜならこのC-3は、ツアーケースに入っていて、それをパカって開けたらイキナリ目の前にこの画が実物大で登場したのですから。やられました。
その瞬間、もうヴィンテージ・キーボードの世界に引き込まれていました。

この強烈な風貌のハモンドオルガンは、内部のトーンホイル構造や真空管アンプがみえるように背面パネルが切断され開いています。

これを見て おおっ!っと思われた方。かなりの“通”ですね。

そうです。このオープンバック仕様こそ、ハードロック・ハモンドオルガニスト、ジョン・ロード氏のハモンドと同じ仕様なのです。

なんとハードロックな風貌でしょう。

ジョンロードのC-3は背面パネルを切りっぱなし(しかも切りすぎ)ですが、このC-3にはアクリル板が貼ってあり、ここんトコが後に驚きの発見につながります。

その下の写真をご覧ください。

ナント、クレイグのハモンドも中が見えるようにアクリル板になっているのです。

実はこの写真は昔から持っていたのですが、ちっとも気付いてませんでした。このC-3のあまりのかっこよさに衝撃を受けて、「こんな事するのはジョンロードとAtsumiさんダケですよ。」「いや〜他にも居るよ」などと会話しながらパラパラと私のGFRスクラップブックを眺めてたら、「ああーっ!た・た・た・大変です!クレイグもやってます!」

そして、3枚目は1975年の日本武道館の写真です。

ナ・ナ・ナント!

クレイグのハモンドは、背面パネルだけでなく、まるまる全部、アクリル透明になっているぢゃあーりませんかっ!

「なんじゃあ!このクラゲみたいなハモンドはっ!!!!!!!!!!!」

恐るべし。グランドファンク。

ロックコンサートの舞台装飾がエンタテイメントとしてトータルコンセプト確立している今の時代では透明のオルガンやピアノはもはや珍しくないかもしれませんが、1975年当時にロックバンドの機材として、クラゲ仕様オルガンを特注したクレイグフロストは、強烈すぎます。

重さ200kgですよ。

青いプレシジョンベースのページで述べましたが、いかに楽器を目立たせようかというショーマンシップにGFRがまい進する中、恐らく(いつもの妄想 )

「マークがシルバーで、ドンがメタリックレッドで、メルがメタリックブルーか。。。
ならば俺はクラゲだ!」とお考えになったにチガイナイ!

がっ。

さすがに200kg、納期もかかって、出来上がった時には Mark & Mel はGibsonとのエンドースが決まっていて、L-5SL-9S The Ripperになっていた!

「ああ!俺だけ浮いてる!」 と。(違うかな?)

で。ホントはハモンドの上に置くクラビネットも「透明にしちゃる」と考えてたが、やっぱやめて、でも木目とクラゲじゃ似合わないので、メロトロンと同じ白にクラビを塗ったのではなかろうか。

いずれにしても、クラゲハモンド。強烈過ぎる存在です。

ハタと気付いたのですが、GFRといえば、誰も使わないようなアウトサイダーな楽器をチョイスするイメージですが、ことクレイグに関しては、ハモンド、クラビネット、メロトロン、ウィリッツアーと、ロックキーボード王道中の王道なのです。
そのコントラストがまた魅力的ですが、クラゲ仕様という、余りにも時代を先取りした凄い改造を施している所もまた、正しくGFRのメンバーらしいアウトサイダーぶりで、私はますますクレイグの虜です。

ちなみにGFR解散後、クレイグの再就職先のボブシーガーバンドでは、この歴史的なクラゲハモンドを使っていないようです。目立ちすぎると却下されたのかな?

さて、冒頭、私が「驚愕した」と申しましたサウンドの検証に戻ります。
このヘビー級な楽器が目覚めるまでの儀式をご存知ですか?
まず海底ケーブルみたいなコードをサイクルチェンジャー(周波数を50ヘルツや60ヘルツに変換したり、電圧を 117ボルトや240ボルト等に上げたりするための装置で、電子レンジの2倍くらいのデカさ)につないで、アイドリングスイッチをONにします。トーンホイールを回すための巨大なモーター(エンジン?)がヴ〜ンと唸りだしたら、電源ON。楽器として始動し始めるワケです。

Leslie Speaker その1

冷蔵庫みたいなレスリースピーカーに、これまた海底ケーブルをつないで、そっちもヴンヴンヴン・・・って回りだして、至近距離だからホーン型スピーカーが風を切って回る音まで聞こえるワケです。「ヒュン ヒュン ヒュン」って。もうこの時点で、部屋の空気が支配されているカンジ、想像してください。空気が揺れていて、巨大なハモンドは今か今かとアイドリング状態。。。

次の瞬間、鍵盤に両手を全部叩きつけられました。

あ。文字で表現できません。補足説明としては、それが「最大音量」で、お見舞いされた。という事です。

しびれました。

レスリーの回転をFastに切り替えると、もう肺の中までヴァイブレーションして音が飛び込んできます。こーゆーもんだったのか。ハモンドって!
CDやコンサート会場でスピーカー経由で聞くソレとは、空気の支配感、正に迫力が別モノでした。
これを2台でビヒャ〜って弾くFootstonpin'Music って、すんごかったんだろーなぁ。。。

「ビヒャ〜!」

最新のサンプリングオルガンとはここが違う。と教えて頂いたのは、例えば故意にモーターの電源をオフにしたりオンにしたりして、モーターの回転数を変えることによってストラトのアームダウンの ような音が出せたり、電源周波数を50Hz⇔60Hz変換することで1音半狂うチューニングを利用してまるでシンセサイザーのような音が飛び出したり、内臓の真空管アンプをブーストしてディストーションサウンドを得られたり、リバーヴユニットを蹴っ飛ばして「グァシャーン」とやったり。(Live in Japan ハイウェイスターのエンディングのアレ)
正しく、これは巨大なアナログ楽器であり、驚愕の奏法解説にタダタダあっけにとられながら思ったのです。
「ああ、これはキーボードのストラトキャスターなんだ。まるでジミヘンが弾いているみたい。。。」 と。
おっと、これはGRAND FUNK MANIAC でした。
これを試さねば。と、レスリーを止めてWESTのアンプにこの巨大なストラトをつないでみました。
はたしてナニが飛び出すか。

「ビヒャヒャ〜!」

正しくソレは、冒頭で申し上げたアノ、「戦争をやめよう」のスタジオ版Footstonpin' Music のディストーションオルガンの音でした。
そうか。Fender Rhodes Piano を、あそこまで個性的な音にしてしまうWESTアンプは、ここでも強烈なサウンドを発し、つまりWESTというアンプはキーボードとの相性が素晴らしいアンプだったワケだ。と判明したのです。
ベースギターよりもヘビーな重低音を発するハモンドがWESTでフルドライヴされてJBLスピーカーをぶるんぶるん揺さぶる光景と、そのサウンドには本当にぞくぞくしました。(あんなに物凄い勢いでJBLのコーンが暴れているのは初めて見ました。衝撃映像でしたよ。)
今すぐ、Caught in the Act を手持ちのステレオの最大音量で聴いてください!
スピーカーがぶるんぶるん揺れなきゃダメです。家族から「なにやってんの!」と怒鳴られた声が聞こえないくらいの音量で。です。
それが、このハモンドオルガンという巨大な機関車の音です!

小さい音で聴いて、「GFRもキレイにまとまっちゃったなぁ」 などという誤認はブッ飛びますよ。

 


― 追 記 ―

MARK師匠は初期セットリスト(MeanMistreater)でのRhodesピアノは座って弾いてましたが、ハモンドを弾く時はギターを持ったまま立って弾くようになり、そのカッコイイ姿がとても印象的です。
弾いた事のある方はご存知でしょうが、ハモンドは立って弾くには鍵盤がかなり低くなってしまうため、MARK師匠のハモンドは4本足の下に木のブロックが4個置かれており、アゲゾコになっています。
1972年Phenixツアーのステージ写真以降、アゲゾコブロックが確認できます。切りっぱなしの木片で塗装もなにも無いトコが日曜大工仕事のようでワイルドです。
で。ハモンドは立って弾くもの。と思い込んでいたのですが、凄い写真を入手しました。コレです。

おおーっ!
ナントぉ。

椅子があります。

ギターはメッセンジャーなのでハモンド導入してかなり初期の写真です。Rhodesからハモンドへ機材変更した当初はハモンドも座って弾いたようです。
最初にハモンドを使った曲はGet It Togetherですので、ステージでは落ち着いて弾いていらしたのでしょう。
それが、Footstonpin'Musicなる「座って弾いてられっか!」という曲により、日曜日に木材を切った。のではなかろうか。と。

この、いかにもステージ背後からこっそり撮影した写真は、ROCK LEGEND探訪の旅でも紹介しておりますが、アメリカの友達ケビンさんから頂きました。
GFR全盛期に4回もライヴを見に行かれたケビンさんが、1/3世紀以上、大切に保管し続けていた貴重な写真なのです。
某有名バンドのドラマーでもあるケビンさんは「大好きなGFRの曲をたくさんコピーしたよ。」と当時の強烈なライヴのお話をたくさん聞かせてくださいました。

Arigatou Kevin-san !!


― 追記 ―

Leslie Speaker その2

レスリースピーカー、もう一台あります。

なんだ。同じぢゃねえか。と思ったボクとあなたに説明します。

これは122RV型のキャビネットで、上の方のツアーケースに入っているのは147型キャビネットなのです !!(←説得力のないビックリマークだな。)
もちっと説明すると、RVっていうのはリバーブアンプタイプで、ほれ。下の写真でホーンの部屋に鎮座するのがリバーブアンプなのです。
ボクはレスリー初心者でオタクではないので(笑)サクっと説明すると、このRVタイプはリバーブアンプを収納する都合でホーンの部屋が広い(開口部が微妙に広い)のです。
箱全体の大きさはRVだろうと、なかろうと同じサイズなので、つ・ま・り、RVの場合、そのぶん真ん中の低音スピーカーの部屋が狭くなるワケなのです。
RVの方が低音がホンのちょっと弱い。と言い換えてしまおう。ええいっ。

でもね。

122型はハモンドの王道、B-3やC-3 専用なので、そのまま王道オルガンを直結でつなげるのです。
122型はバランス、147型はアンバランスなので、147型にB-3やC-3をつなぎたければ、「コンボプリ」なる仲人を介在せねばならぬのです。

で。これがコンボプリ。

かのビートルズのジョージハリスンがギターをレスリーで鳴らしたくて、たぶんビートルズ周辺の誰かエンジニアが考え出した魔法の仲人です。
で。この122RVキャビネットのレスリーは、パワーアンプが147型のモノと交換されております。
ううん、こんがらがってきたな。。。。つ・ま・り、ツアーケース入りのメインで御愛用されてる147キャビネット(低音がよく出るタイプと言い切ってしまおおう。えいっ)に、便利な直結できる122型のパワーアンプが搭載されていて、こちらの122キャビネット(低音弱し。。。ええいっ)には、不便な(ええいっ)147型パワーアンプが搭載されていて、こちらはビートルズも御用達した(?)コンボプリを使わねばならない。とゆーワケです。

う〜ん、絶妙な解説だな。。。さっぱりわからん。


とにかく、これが147型不便なパワーアンプ。


で、こーゆーので、踏んだり蹴ったり。
(↑日本語の使い方が違うな)


で、こーゆーブッ太いケーブルでつなぐワケ。

で、ブンブン回って、ショわんショわんショわん、ウヒャヒャヒャ〜って

あ。カナリいーかげんな説明になってきました。はい、レスリーオタクではないんですね。
真のレスリーは語ると何日もかかっちゃうそうです。
やれ、ホーンは2個あっても、片っぽダミーで音出てない。とか、キャビネットの板の厚さがどうとか。etc,etc。
ん。あれ?
もしかして122型のRVじゃないヤツならば、便利で低音特性も良い。って事なのかな?
「147型キャビネットに122型アンプ搭載」って、122型のRVじゃないヤツとおんなじ。って事なのかな?
し、しまったあ!素人がヨケイな事を考えてしまったっ。
す、すみませんっ。『147改122アンプ搭載』 の奥の深さを分ってませんっ。(←きっと、あとで補習だな。。。)
あ、注釈です。
このレスリーは現在もサブとして使われておりますが、キャビネットに書いてあるイギリスの住所&電話番号は現在は使われておりません。

ちなみに2台あると、尋常ではなく、かさばります。
ビンテージ・ロック・キーボーディストという御職業は、演奏技術の他にたいへんな労力と保管スペース確保と輸送手段と機材知識が無ければ勤まらない(ヲタ○?)という事を取材を通して勉強させて頂きました。

たとえば。今は全く使っていないが処分する訳にもいかずデデンと鎮座し続けるコレなど80kgくらいあります。

YAMAHA CS-80 銘器です。伝説です。超高価だったそうです。
でも21世紀には重くてジャマだったりします。
レスリー取材時に、これはGFRに関係ないのにあんまりにもドカスのが手間だったので載せます。(笑)
80Kgあるので名前もCS-80。YAMAHAさん“粋”です。重くて。

続く。。。

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